「響け!ユーフォニアム2」5話。金で喜ぶわけにはいかない
熱血根性吹奏楽アニメ「響け!ユーフォニアム2」5話。今回は久美子たちが関西大会に出場する回。
見逃した人はニコニコ動画とAbemaTVで見られます。
劇場版ですら途中ちょっと切ったのに、今回は演奏シーンを一曲まるまる映像化。
切れ目を入れないことで、実際の演奏の緊迫感を再現。
受賞発表時、Twitter実況ハッシュタグでは、ラピュタがバルスで爆発するかのごとく、視聴者からも雄叫びがあがっていた。
てかまだ関西大会だよ、こんな盛り上げちゃって、全国大会どうするの。楽しみにしていい?
・ここがすごい1・府大会からの成長具合がはっきりわかる
演奏している曲は、府大会(1期・劇場版)と同じ「三日月の舞」。どこが進歩したか見ていてすぐわかるようになっている。
たとえばトランペット高坂麗奈のソロパート。府大会ではソロパート争いを引きずっていたため、中世古香織はちょっと切なそうに、吉川優子はツンとした顔で映っていた。
今回は違う。優子も香織も、とてもスッキリした顔だ。
「希美のために吹く」と言ったオーボエソロ鎧塚みぞれの、憑き物が落ちたような顔も、いい。
部員の楽譜には、合宿ではしゃいでいる写真が貼りまくられ、友人の応援落書きまみれ。
この吹奏楽部に「モブ」は一人もいない。みんなが横とつながり、成長しているのが見える。
・ここがすごい2・パーカッション表現の力のいれ方
パーカッションパートの描写が、ものすごく多い。
特に目立つのは、「中学からパーカッション一筋」(劇場版パンフレットより)という、シンバルの1年生・井上順菜。
重要なポイントはばっちり彼女が決めるので、演奏が締まって見える。
他にも打楽器は打った後、強弱による跳ね返りまで、細かく表現されている。
おっちょこちょいな3年生の田邊名来、通称ナックル。外部講師の橋本先生がいなくなって泣きじゃくっていた彼、真剣に演奏している姿が見られる。
・ここがすごい3・ソロの麗奈の安定感
緊張がもう限界、という時にパン!と麗奈のトランペットソロが入る。
何のゆらぎもない、自信に満ちた音だ。
麗奈のソロは溜めが少し多めで、艶っぽさが増した。
その時に久美子の記憶をよぎるのが、1期8話、祭りの夜に麗奈と2人で大吉山に登ったシーン。
本番前に「私も久美子のために吹こうかな」と言ったのがバッチリ反映されている。
友情と恋愛の境界線を設けずに熱っぽさを出すのは、シリーズ演出の山田尚子の持ち味だ。
ここで、今回の「久美子と麗奈の仲良しノルマ」達成です。
・ここがすごい4・止まらないカメラ
「ユーフォ」は映像を手ブレさせる手法が度々使われている。
今回の演奏、アップのシーンでカメラが静止することが、一切ない。
楽譜を右から左に追うだけでも、まっすぐに動かない。
酔いそうな映像の作りが、見ている側にも張り詰めた空気を伝えている。
・ここがすごい5・バルブの重み、息づかい
金管楽器のバルブのスプリングをしっかり再現。指で押し込んだ時の重みが見える。
吹き込む息づかいも丁寧だ。
麗奈がソロ前に口を離してスッと吸う瞬間。
経験者が見ていて、感情移入するところだ。
音を響かせる瞬間が、大切にされている。
金管楽器に映り込んだ会場の照明まで再現。
独特な壁から察するに、尼崎市総合文化センターあましんアルカイックホールだろう。
ベストシーンとして選びたいのは、舞台裏、2年の吉川優子があげた指にあわせて、みんなも一斉に指をあげるところ。
人のためにがんばって、思い切り涙を流せる子(4話参照)が、みんなの先頭に立っている。たまらないよ。
久美子と麗奈は中学時代、「金賞」にもかかわらず、次の大会に進めない「ダメ金」だった。
麗奈は泣き崩れていたが、久美子は「本気で全国行けると思ってたの……?」と大失言。
今回は違う。
部員の子たちは金の発表を聞いて、声を上げて大喜びした。
だが久美子は、金だと聞いて息を吐いたものの、全然気を抜いていなかった。
「本気で全国に行く」と思っているからだ。
大阪府代表のある学校は、全国大会に選ばれて笑顔になるものの、軽く拍手をする程度。
これが「全国大会」を目指し続けている学校の反応だ。
一方、久美子の友人・佐々木梓が通う立華高校。
梓はコンクールの前日、久美子に電話をしている。
「もし私の事見かけても話しかけないでほしい。多分冷静じゃないと思うから」
彼女たちは、銀だった。
傘木希美の表情が、印象に残る。
昨年3年生との対立やいじめで退部した彼女。
あれだけ中学時代から一生懸命頑張ってきたのに、自分の選択でその舞台に立てなくなってしまった。
親友たちの健闘を、心から喜んだ。
けれど、取り返しはつかない。
6話は文化祭。
原作の外伝「北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話」に収録されている話になるはず。
優子先輩が……巨大いちごクレープに挑む……!
今夜スタート「響け!ユーフォニアム2」青春はやり直せないことだらけだけど、1期を振り返ってみた
初回からタブーに踏み込んだ「響け!ユーフォニアム2」
「響け!ユーフォニアム2」2話。吹奏楽部崩壊といじめの傷跡
「響け!ユーフォニアム2」3話。うざい先輩って、正直な人ってことだよ
「響け!ユーフォニアム2」4話。人って打算的に動くもの、かなあ
(たまごまご)
見逃した人はニコニコ動画とAbemaTVで見られます。
演奏シーン、ここがすごい!
劇場版ですら途中ちょっと切ったのに、今回は演奏シーンを一曲まるまる映像化。
切れ目を入れないことで、実際の演奏の緊迫感を再現。
受賞発表時、Twitter実況ハッシュタグでは、ラピュタがバルスで爆発するかのごとく、視聴者からも雄叫びがあがっていた。
てかまだ関西大会だよ、こんな盛り上げちゃって、全国大会どうするの。楽しみにしていい?
演奏している曲は、府大会(1期・劇場版)と同じ「三日月の舞」。どこが進歩したか見ていてすぐわかるようになっている。
たとえばトランペット高坂麗奈のソロパート。府大会ではソロパート争いを引きずっていたため、中世古香織はちょっと切なそうに、吉川優子はツンとした顔で映っていた。
今回は違う。優子も香織も、とてもスッキリした顔だ。
「希美のために吹く」と言ったオーボエソロ鎧塚みぞれの、憑き物が落ちたような顔も、いい。
部員の楽譜には、合宿ではしゃいでいる写真が貼りまくられ、友人の応援落書きまみれ。
この吹奏楽部に「モブ」は一人もいない。みんなが横とつながり、成長しているのが見える。
・ここがすごい2・パーカッション表現の力のいれ方
パーカッションパートの描写が、ものすごく多い。
特に目立つのは、「中学からパーカッション一筋」(劇場版パンフレットより)という、シンバルの1年生・井上順菜。
重要なポイントはばっちり彼女が決めるので、演奏が締まって見える。
他にも打楽器は打った後、強弱による跳ね返りまで、細かく表現されている。
おっちょこちょいな3年生の田邊名来、通称ナックル。外部講師の橋本先生がいなくなって泣きじゃくっていた彼、真剣に演奏している姿が見られる。
・ここがすごい3・ソロの麗奈の安定感
緊張がもう限界、という時にパン!と麗奈のトランペットソロが入る。
何のゆらぎもない、自信に満ちた音だ。
麗奈のソロは溜めが少し多めで、艶っぽさが増した。
その時に久美子の記憶をよぎるのが、1期8話、祭りの夜に麗奈と2人で大吉山に登ったシーン。
本番前に「私も久美子のために吹こうかな」と言ったのがバッチリ反映されている。
友情と恋愛の境界線を設けずに熱っぽさを出すのは、シリーズ演出の山田尚子の持ち味だ。
ここで、今回の「久美子と麗奈の仲良しノルマ」達成です。
・ここがすごい4・止まらないカメラ
「ユーフォ」は映像を手ブレさせる手法が度々使われている。
今回の演奏、アップのシーンでカメラが静止することが、一切ない。
楽譜を右から左に追うだけでも、まっすぐに動かない。
酔いそうな映像の作りが、見ている側にも張り詰めた空気を伝えている。
・ここがすごい5・バルブの重み、息づかい
金管楽器のバルブのスプリングをしっかり再現。指で押し込んだ時の重みが見える。
吹き込む息づかいも丁寧だ。
麗奈がソロ前に口を離してスッと吸う瞬間。
経験者が見ていて、感情移入するところだ。
音を響かせる瞬間が、大切にされている。
金管楽器に映り込んだ会場の照明まで再現。
独特な壁から察するに、尼崎市総合文化センターあましんアルカイックホールだろう。
ベストシーンとして選びたいのは、舞台裏、2年の吉川優子があげた指にあわせて、みんなも一斉に指をあげるところ。
人のためにがんばって、思い切り涙を流せる子(4話参照)が、みんなの先頭に立っている。たまらないよ。
コンクール結果発表、悲喜こもごも
久美子と麗奈は中学時代、「金賞」にもかかわらず、次の大会に進めない「ダメ金」だった。
麗奈は泣き崩れていたが、久美子は「本気で全国行けると思ってたの……?」と大失言。
今回は違う。
部員の子たちは金の発表を聞いて、声を上げて大喜びした。
だが久美子は、金だと聞いて息を吐いたものの、全然気を抜いていなかった。
「本気で全国に行く」と思っているからだ。
大阪府代表のある学校は、全国大会に選ばれて笑顔になるものの、軽く拍手をする程度。
これが「全国大会」を目指し続けている学校の反応だ。
一方、久美子の友人・佐々木梓が通う立華高校。
梓はコンクールの前日、久美子に電話をしている。
「もし私の事見かけても話しかけないでほしい。多分冷静じゃないと思うから」
彼女たちは、銀だった。
傘木希美の表情が、印象に残る。
昨年3年生との対立やいじめで退部した彼女。
あれだけ中学時代から一生懸命頑張ってきたのに、自分の選択でその舞台に立てなくなってしまった。
親友たちの健闘を、心から喜んだ。
けれど、取り返しはつかない。
6話は文化祭。
原作の外伝「北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話」に収録されている話になるはず。
優子先輩が……巨大いちごクレープに挑む……!
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(たまごまご)