“自分から動く部下”の育て方
職場では、上司や部下といった立場の違いで、意識のすれ違いが生まれやすい。だが、そうした問題を簡単に解決できる「行動の仕組み」がある。
■部下に「裁量の範囲」を持たせる
今の部下は全体的に積極性や主体性が足りず、受け身だと言われる。だがそんなイマドキの部下だって、指示したことはきちんとやる者ばかり。要は上司の育て方、「動かし方」次第。「部下に積極性や主体性を持たせるための仕組み」さえつくれれば、自ら動いてくれる。
そんな仕組みづくりのコツは、部下に「裁量の範囲」を持たせること。たとえばクレームのレポートを出させるときに「原因を考えて、対策を出してくれ。ただ原因は大体○○だろうから、そのあたりを中心にデータを集め分析してくれ」とまで具体的に指示する。そのうえで、「分析結果をわかりやすく表現するにはどんなグラフが適切か、自分で考えてやってみてくれ」と、1つだけ宿題を出す。そのグラフが棒グラフだろうが円グラフだろうが、レポート自体の価値は変わらない。ただ部下としては「考える」というお題を与えられながら、最後まで自分の手で仕事を完成させることになる。
部下も「ここはこうやりなさい」と具体的に指示されれば、安心する。そこからしだいに「考える」習慣がつけばいい。「ここだけ自分で考えればいいんだな」となれば、そこにエネルギーを投入するので、ムダな時間をかけずに考え、仕事ができる。
ただそこまでやっても、ムダな動きしかしない部下もいる。考える時間を1週間与えても、考えだすのは前日からだったりする。それを防ぐための仕組みが、「軽めの中間報告」だ。今週中に出してほしい仕事については、水曜日の夕方に軽めに中間報告をしてほしいと言っておく。指示の中に中間報告も仕組みとして組み込んでおくのだ。そうすれば部下も何かやっておこうと思い、早めに着手する。
この仕組みのコツは、あくまで中間報告は軽めだということ。時間は短く、報告の仕方も受け方も、報告に対する返事も軽めで。それなら部下も、報告を負担に感じることもなくなる。
(青木健生=構成 澁谷高晴=撮影)