IIoT市場を“制覇”するのは中国? エコノミスト誌が語るそのポテンシャルと落とし穴
中国は、需要に勢いのある「インダストリルIoT(IIoT)」の市場において世界をリードしようと虎視眈々としている。
エコノミスト誌は、最近の記事で中国が世界のIIoT市場でシェアの多くを獲得する立ち位置につけたことを大きく賞賛している。
現在中国が世界最大の工業生産力を有していることが、世界のIIoTを牽引する地盤になるというのがその意見だ。
世界中の電化製品の多くが中国で作られていることから、IIoT製品もそうなることだろう。また、多くの中国製IIoT技術は国内に多数ある工場への販売を狙ったものである。このことは国内の工業レベルの底上げを狙う政府の目論見と合致するとエコノミスト誌は言っている。
中国のコネクテッドデバイスの数は世界一であり、IDCの報告によれば、中国全体のIoT市場は2015年の1兆9300億ドルから、2020年には3兆6100億ドルになるという話だ。さらに、アクセンチュアの見積りによると、中国のIoT関連の産業は2030年には7兆3600億ドル規模に達するという。
中国のIIoT産業に着手しだしたGE
中国のIIoT市場のポテンシャルの高さは、沿岸部に多大な資本を集めている。
エコノミスト誌は、General Electricが上海に設立した「デジタル工場」をこういった動きの最たる例として取り上げている。これにより、中国企業はIIoT製品の開発および商業化が可能となるであろう。
GEは中国のほかパリにも工場を持ち、これは同社のプロプライエタリなIIoTソフトウェア『Predix』の戦略の中心に置かれている。現在、中国電信、中国東方航空、Huaweiといった企業が興味を示しているようだ。
また、中国移動通信やCisco、HP、Honeywell、Siemensといった企業も市場のセグメント確保に動き出している。
さらに、エコノミスト誌では中国のIoTのポテンシャルの裏にある落とし穴についても触れられている。中国の工場はヨーロッパやアメリカほど技術的に進んでいるわけでもなく、高度な技術に展開する際は障害が出てくるかもしれない。また、そういった展開は低迷する世界経済に苦しむ企業にとってはあまりに高いハードルになるかもしれないという。
だが近年のウェアラブルの売上低迷を考えると、コネクテッドデバイスの販売はコンシューマ向けより産業向けのほうが開けていると捉えることもできる。
スマートウォッチの出荷はこの第二四半期で、同時期の去年と比較すると32%に落ち込んでいるとIDCは報じている。Apple Watchの販売台数は2016年第二四半期で160万台であり、これは昨年の同時期に360万台売れていたことを考えると、55%の数字である。
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いずれにしろ中国が鍵を握るのは確かだろう。今後の中国を取り巻く環境の変化はきっと激しくなるため、次また記事に書けることを楽しみに待ちたい。
ReadWrite[日本版] 編集部
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