五輪代表チームはスウェーデンには勝ったものの、グループリーグを突破できませんでした。この世代のチームは今回が初めての世界大会進出。浮き足だったり、途中で修正できなかったりと経験不足を露呈してしまいました。

今回の結果からは2つの問題点が浮かび上がってきました。

まず敗退は選手だけの問題ではないという点です。この世代に国際経験を積ませるよう、フォロー体勢を構築してこなかったことに問題があるのです。もし世界大会に出られなかったのなら、別の形で厳しい国際大会に出られるようにしておかないと、今回のようなミスは起きます。

もう1つの問題は選手がどうやって世界に出ていくかという点です。

今回の敗退で、この世代を叩く人たちも出てくるでしょう。ですが、今の日本代表で活躍している本田圭佑香川真司岡崎慎司内田篤人、吉田麻也、長友佑都は3戦全敗だった北京五輪代表なのです。彼らはその悔しい思いから世界に飛び出し、自分を成長させました。

今回もこの悔しさをどう今後に活かすかにかかっていると思います。もしかすると、何人かの選手は海外に出て行くかもしれません。活躍した中島翔哉大島僚太は十分にチャンスがあると思います。

ですが世界的に見ると、五輪で世界を経験してから海外に出て行っては、遅いのです。五輪のときは23歳。これは決して若手ではありません。もっと若いうちから経験を積まないと、僕はいずれ日本が五輪やワールドカップに出場できなくなるのではないかと危惧しています。海外のチームと次第に差が開いているように思えるのです。

たとえばU-17ワールドカップのあとに海外を目指せば、20歳前でたっぷり経験を積むことができます。選手に対して、そういう移籍ができるようにバックアップしたほうがいいのではないでしょうか。世界に出て行く手助けをすることが、日本サッカーのためになると思います。

「勝った」「負けた」「惜しかった」だけではなく、もっと長期的な視野を。そういうビジョンが必要だと教えてくれたのがリオ五輪でした。

それから、今回でこの連載も100回を迎えることができました。ご愛読ありがとうございます。今後ともどうかよろしくお願いします。