160725 pokemon

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世界中を虜にした『ポケモンGO(Pokémon Go)』、私はこれを「ひと夏の思い出」にはしたくないと思っている。
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これまでに我々が見ていた、何の変哲もない静かな景色はもう見れなくなるだろう。かつてはアスファルトしか無かった所が、今では元Googleのスタートアップ企業であったNianticが制作した人気ゲームを遊ぶ人たちが集まる場所となっている。いまのところβ版でしかないこのAndroidおよびiOS向けゲームが、7歳から70歳以上という幅広い層を巻き込む社会現象を巻き起こしている。

ポケモンGOは、Nianticが以前作ったAR(拡張現実)ゲーム『Ingress』での経験が活かされている(ARかただの位置情報ゲームかの論争はいったん置いておく)。ポケモンGOのポケストップ(プレイヤーがアイテムやポケモンを回収できる現実世界での場所)を作り上げるためのデータの多くは、Ingressのプレイヤーたちがもたらしたものだと考えられている。

これはポケストップが公園や学校、アイス屋などの子供がたくさんいる場所ではなく、大人が立ち寄る所に多くある理由の一つといえる。

Nianticは、Google、任天堂、Pokémon Co.から2,000万ドルの投資を受け、ポケモンGOが米国でリリースされた7/6以来、日に160万ドルの収益を上げていると発表している。公開からわずかしかたっていない中でのこの数値は、無料アプリがあげた数字としては目を見張るものだ。

この一夜にして起こったことを理解するため、いや、というよりも、いち早くこの非常にノスタルジックな経験に飛び込むために、テキサス州オースティン内の大規模ポケモンGOジムに行ってみた。ポケモンGOジムはプレイヤーたちがバトルを通じて経験値を稼ぎ、3つのチームの中から所属チームの優位を築くためにやってくるバーチャルスポットである。(ポケモンGOジムでのバトルは、プレイヤーレベルがLv5に達したら参加できる。)

私がテキサスに到着した時、外気温は35℃あり、太陽は地平線に沈みつつあった。蒸し暑い中、多くの人がスマートフォン画面に釘付けになっていた。上のイメージはオースティンのサウスパーク・メドウショッピングセンターで、ここの中心が集まり場となっている。普段ここは火曜や水曜の晩は人気がないのだが、それももう過去の話だ。

火曜日では少なくとも100人が、切りだされた岩や人工芝の上に座ってゲームを遊んでおり、水曜日にはその数は倍程度になっているように見えた。この一度忘れ去られたように見えるゲームは、大ヒットとなったのである。

ポケモンGOがプレイヤーに及ぼす”いい影響”とは

ポケモンGOは、企業だけでなくプレイヤーにとってもいいものだ。プレイヤーには外を出歩くことを促すだけではなく、実際にそうする必要に迫られる。ポケモンを捕まえるためには靴を履いて外を出歩く必要があるのだ。また、プレイ中に一定の距離を歩かないと孵化しないタマゴもあり、マルチプレイヤーで楽しむためには実際にポケモンGOジムに出向く必要がある。

自分の経験からして、店の前や待合場所、あるいは郵便局に並んでいる人に歩み寄る際、ポケモンGOはアイスブレイクの手助けをする最適のツールなのだ。プレイヤー同士はお互いのことを知っているかのように挨拶しあう。「ポケモンGOをやっているのかい? じゃあ、君も仲間だ。」

この体験は文化的・世代的な垣根を超えるものでもある。私自身、知らない人たちに混じって20分ほどプレイしたが、我々はお互いにゲームについて語り、ヒントを交換し合い、レアなポケモンを捕まえた時はお互いに喜び合った。

人だかりの中で携帯ゲームをやっているというよりは、友達とパーティに行っているような感覚を覚えた。我々は楽しむためにその場にいたのだ。

フィットネスの観点から言うと、この二日間でこれまでにないくらい歩いた。いい運動になったが、周りのプレイヤーたちも同じように、「今日でもう5マイル歩いたけど、まだこれからが始まりだ」と笑いながら言っていた。

ポケモンGOが地元の企業にとって有益な理由とは

先ほど話したショッピングセンターのことを思い出してほしい。そこではこのアプリが商売にも大きく貢献している。暑い日に冷たいものを求めて人が集まる人気のアイス屋 Amy's Ice Creamsは、プレイヤーたちでいっぱいになっていた。ここがポケストップになっていたからだ。

店主やプレイヤーたちは、ルアーと呼ばれるピンクのバーチャルデバイスを購入することができ、これによってその近辺にいるポケモンを30分ほどその場に留めることができる。これにより、その場にいればより効率的にポケモンを捕まえることができるわけだ。

いまのところ企業が自身をポケストップにする道はないのだが、その側にあるだけでもプレイヤーたちに対して休息を取れる場所として大きくアピールすることができるだろう。マーケティング的な観点で言えば、プレイヤーたちが行くであろうところにおもむき、一本の水と共に名刺か自社製品のクーポンを手渡すといったことも考えられる。

ともあれ、これでプレイヤーを家から引きずり出すのに成功するわけだ。

ポケモンGOが”本物のコミュニティ”を築くまで

ポケモンGOが防犯に役立ったという例はすでにある。犯人をモンスターボールで捕まえたというわけではないのだが、このゲームにより犯罪を現場で防ぐことができたケースだ。

米国海兵隊のベテラン二人が地元の公園でゲームをプレイしてる時、彼らは母子に嫌がらせをしている男に気付いた。その男は親子連れに次々と嫌がらせをしていったのだが、いよいよ子供に手をかけようとした時、彼らはその男を追い払い警察に報告を入れた。

警察が到着したとき、その男は殺人の容疑者として捜索中だった人だということがわかったという。

”互いが同じものに対し関心を持つコミュニティ”というものは、言うまでもなく健全なものだ。このシンプルなARゲームによって、これまで一人でいたか限られたグループとの付き合いしかなかった人も新しい付き合いを見付けられることだろう。

ポケモンGOが長く愛されるゲームになるか、ただの一時的なブームで花火のように散るか、いずれわかることだろう。現在リリースを控えている、ポケモンGOジムの側に来た時や、ポケモンがいたらアラートを出すウェアラブルの存在は、この祭りの始まりを意味するものなのかもしれない。

世界中で楽しまれると同時に、新たな問題を引き起こしてもいる『ポケモンGO(Pokémon Go)』。アメリカではついに死亡事件まで起きた。先日リリースされた日本では、まだ大きな事件は起きていないが、小さな問題はポツポツと出てきているし、早くもあまりの盛り上がりに対して「もう冷めた」と言い出す人も出てきている。

今後の改善は必須だが、上記に挙げたように多くのいい影響を社会に起こしており、特に、運動不足の人や外に出るのを躊躇っていた人が家の外に出るキッカケを生んだという事実は、大変素晴らしいことだろう。どうか「ひと夏の思い出」にならないでほしい、と切に願う。

ReadWrite[日本版] 編集部
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