5月26日、27日に開催される「G7伊勢志摩サミット」。その伊勢志摩の名産品で女性が気になるものといえば、やはり「真珠」ではないでしょうか。今回は、クレオパトラからココ・シャネルまで古今東西の女性たちを魅了してきた宝石「真珠」の魅力を、TOKYO FMの番組の中で専門家の方々に教えてもらいました。
(TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」5月7日放送より)


伊勢志摩名産「真珠」の魅力を探る



◆「真珠は海の中で貝が育んだ宝石」
〜タレント デヴィ・スカルノさん


真珠はダイヤモンド、ルビー、エメラルド、サファイアと並ぶ五大宝石のひとつ。その中でも真珠はもっとも上品で優美とされ、どんなドレスやスーツにも合います。冠婚葬祭にもふさわしい宝石ですね。

真珠は海の中で貝が育んだ生きた宝石です。昔はナチュラルな真珠しかなかったので、自然そのままの形の真珠を使った装飾品がたくさんありました。それが変わったのはミキモトが真珠の養殖に成功してから。今は主に女性のアクセサリーとして愛されていますが、男性だってタキシードや燕尾服の襟や首に付けることはあります。ヴァンクリーフ&アーペルやカルティエなんかは真珠を使ったすごく洒落たのがありますよ。

真珠にはいろんな種類があります。たとえばタヒチの黒真珠は有名ですが、その黒にグリーンの色味が入るとクジャクの羽のような色になるため「ピーコック」と呼ばれ、非常に尊ばれているんです。きれいなピンク色の真珠もありますし、青がかったもの、グレーがかったもの、ゴールドなどなど。最近は「白・グレー・黒」「金・白・グレー」など3色の真珠を混ぜたネックレスも流行っています。

ルネサンス期は涙のような形をしたドロップ型の真珠がイヤリングとして尊ばれました。実は今でもドロップ型の真珠はありますが、養殖だとめったに見かけません。ニューヨークのサザビーズで私の親指くらいある大きなドロップ型の真珠を見たことがありますが、左右2個のセットが3000万円で落札されていました。こんなに高いのは大きさもさることながら、セットで色や形を揃えるのが本当に難しいからです。50年に1ペアくらいしかできないので、そんな値段になってしまいます。

真珠はほかの宝石よりもお手入れが大事です。ネックレスだと肌に直に触れることになりますが、酸(つまり汗)にとても弱いので、しまう前にきちんと拭き取っています。それを怠ると真珠層が酸化してしまい、輝きが喪われてしまうのでお気を付けください。

◆「真珠の収穫が行われる季節は……」
〜東京大学三崎臨海実験所 所長 赤坂甲治さん


真珠の養殖は「ピース式」と呼ばれる方式が主流です。ほかの貝の貝殻を小さく切って丸く研磨したものを核とし、そのまわりに真珠を作る元となる外套膜を貼り付けてアコヤガイの中に入れてやると、やがて外套膜が核全体を覆い、内側に真珠層を形成して少しずつ真珠に育っていきます。

核の素材は貝殻でなくても大丈夫です。かつて東京大学と御木本幸吉さんが一緒に研究していた頃は、散弾銃の鉛玉を核として使っていたという記録も残っています。それでもやっぱり貝に負担をかけないのは馴染みのある素材だろうということで、丸く削った貝殻が使われています。

1つの貝に入れる核は、大きな核なら1つですが、小さな核なら2つ入れる場合もあります。0.5cmの核を入れると、半年後には0.7cmくらいになります。核を入れて半年で真珠として取り出せますが、さらに時間をかけるなら1年半後になります。これは冬に一番いい真珠層の巻き方をするからです。

真珠層は薄い炭酸カルシウムの結晶が何層にも積み重なっています。1つの炭酸カルシウムの結晶がだいたい0.4μmなので、1mmの真珠層なら2500枚の結晶が重なっている計算です。その厚みがちょうどいい具合になって虹色に光を反射するようになるのが冬場なので、真珠は冬に収穫します。

真珠を育てるアコヤガイは生き物なので、食べ物になるプランクトンが必要です。そしてプランクトンが増えるには栄養塩類が必要ですが、これは人間の生活排水から供給されるケースが多いんです。だから真珠の養殖は真っ青な綺麗すぎる海よりも、ちょっと緑がかって富栄養化した海のほうが向いています。

アコヤガイは2年目の10cmくらいに成長したところで核を入れます。核は単に殻の中に入れるだけではなく、体にメスを入れて傷口の中に入れるんです。これは休眠状態にした上での一種の手術で、入れた後も養生しないといけません。そしてアコヤガイは貝柱がとてもおいしいので、真珠を取り出した後は食用にします。

◆「真珠の鑑定は難しい!」
〜真珠鑑定士/真珠総合研究所 代表取締役 沢井寿哉さん


真珠の鑑定は、まず本物か偽物かを見分けるところから。今はプラスチック製のイミテーションパール(模造真珠)がありますから。本物はカルシウムが主成分ですが、貝の中で作られるので表面に肉眼では見えない地図の等高線のような縞模様があるんです。その条線模様を50倍くらいの顕微鏡で確認します。イミテーションだとミカンの表面のような小さな穴が見えることが多いですね。

次に本物は真珠の種類によって価値が変わってきます。真珠の種類は貝によって名前が付いていて、アコヤガイから獲れるアコヤ真珠、シロチョウガイから獲れる白蝶真珠、ヒレイケチョウガイ等から獲れる淡水真珠などがありますね。淡水の貝は種類が多すぎて区別しづらいので、まとめて淡水真珠と呼ばれます。日本でも昔は琵琶湖や霞ヶ浦でたくさん養殖されていました。

中国内陸部では現在も淡水真珠の生産が盛んで、1つの大きな貝の中で10〜20個の真珠を作っています。近年は淡水で核を入れずに細胞だけ入れて作る「無核真珠」の技術が確立され、貝の負担を軽くして大量に真珠を生産することも可能になりました。これに対して海水の真珠は、7mm以上だと1つの貝で2個が限度です。

海水でもシロチョウガイは30cmくらいに成長するので大きな真珠が獲れやすいのですが、アコヤガイはそこまで大きくならないので大きな真珠を作るのが難しくなります。だから同じ10mmの真珠でも希少性が高いのはアコヤ真珠のほうです。ただ、今ここにアコヤ真珠と淡水真珠がありますが、ぱっと見で区別することはできません。区別するためには顕微鏡で見る必要があります。

黒真珠も人間が染料で着色したものと、天然のものがあります。真珠は宝石ですから、できるだけ人間の手が加わっていない天然もののほうが良いですよね。極論すればたくさん作りたくなれば着色のほうは作れますから。天然ものは色が薄かったり黒が強すぎたり、貝次第です。そんな着色か天然色かも真珠の鑑定では見極めることになります。

TOKYO FMの「ピートのふしぎなガレージ」は、《サーフィン》《俳句》《ラジコン》《釣り》《バーベキュー》などなど、さまざまな趣味と娯楽の奥深い世界をご紹介している番組。案内役は、街のはずれの洋館に住む宇宙人(!)のエヌ博士。彼のガレージをたまたま訪れた今どきの若者・新一クンと、その飼い猫のピートを時空を超える「便利カー」に乗せて、専門家による最新情報や、歴史に残るシーンを紹介します。

あなたの知的好奇心をくすぐる「ピートのふしぎなガレージ」。5月14日(土)の放送のテーマは《紅茶》。お聴き逃しなく!

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<番組概要>
番組名:「ピートのふしぎなガレージ」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国37局ネット
放送日時:TOKYO FMは毎週土曜17:00〜17:50(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/garage