日本中が固唾を飲んで見守ったライブドアによる一連の買収劇。会社は誰のものか？　企業の防衛策は？　と、さまざまな議論を巻き起こした。ニュースでも聞き慣れない専門用語が飛び交ったため、チンプンカンプンだった人もいるのでは。ＴＯＢ、ＬＯＢ、焦土作戦、パックマンディフェンス・・・。なぜか、色にまつわるＭ＆Ａ用語も多かった。そんなカラフルな用語のいくつかをおさらいしておこう。

　まずは「ホワイトナイト」。「白馬の騎士」と訳される、この用語。買収を仕掛けられた側の経営陣が、敵対的で自分たちを追い出すおそれのある買収者よりも、友好的な企業や株主に株を買ってもらい、買収阻止を狙う。そんなとき、この友好的な企業や株主をホワイトナイトと呼ぶのだ。文字通り、旧経営陣にとってみれば、白馬に乗った騎士。ちょうどＳＢＩの北尾氏が登場したときに、「彼はホワイトナイトなのか？」と噂された。しかし、本人も否定していたし、株を一時的に借りただけなので、ホワイトナイトではないだろう。

　また、逆に買収する側に味方して、買収される企業の株を買う株主の場合には、ブラックナイトと呼ぶ。

　次は、「グリーンメール」。標的とする企業を決め、その企業の株式を市場で買い集める。そして、買収を恐れる相手に、買い集めた株式の買い取りを持ちかけるのだ。企業はこの買収者を追い払うために、プレミアムをつけて自社株を買戻す。買収者はその分だけ、利益を稼ぐことになる。買収はあくまで建前で、本当は金を稼ぐ目的で買収を仕掛けるわけだ。買い取りを持ちかけることを、グリーンメール。持ちかける買収者をグリーンメーラーという。ライブドアも当初は、単に金儲けが狙いのグリーンメーラーと疑われていた。

　ちなみになぜグリーンメールと呼ぶのか。それは、お金で解決するという手法がドル紙幣を連想させ（ドル紙幣は緑色）、さらに脅迫状を意味するブラックメールに引っかけたからだとか。

　最後にご紹介するのは、「ゴールデンパラシュート」。Ｍ＆Ａが盛んなアメリカでは、しっぽを巻いて会社から逃げてしまう経営者もいる。しかし、彼らもタダでは転ばない。会社が買収され、新しい役員によって解任される場合を想定して、巨額の退職金がもらえるような契約をあらかじめ会社と結んでしまうのだ。大金を持ってパラシュートで脱出。会社には、負債だけが残るのだ。まさに、黄金のパラシュート。

　先日発表されたライブドアとフジテレビの提携発表を、玉虫色の決着と見る向きもある。しかし、何色だったのかは、今後の展開を見なくては分からない。とにもかくにも、今回の騒動が、日本経済をバラ色に導くことを期待したい。（文／verb）