猪口 真 / 株式会社パトス

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今年(2015年)は、かなりの企業において好業績を出している模様だ。

弊社調査だが、日本のビジネス・パーソンの1000人の管理職以上の方々に聞いた結果(社員の10人以上の企業に勤める東名阪の主任以上のビジネス・パーソン1000名のアンケート調査、協力:クロスマーケティング)によると、勤め先の会社が今期(先期)減収だと答えたビジネス・パーソンが約20%だったのに対して、約45%のビジネス・パーソンが、増収もしくは増益だったと答えている。

(うち約半数が単年度では、増収増益だと答えている)

円安による利益率の向上、東南アジアの好調な経済など、外部の要因を上げる人も多いが、同じ条件の企業間においても、大きな差がある場合もあるし、同じ会社の中でも、好業績の部門とまったくだめな部門が存在することもある。

もちろん、企業としての戦略の差や企業自体の能力・体力の差も大きい要因となるが、ここでは、仕事をするビジネス・パーソン自身の意識やモチベーション、行動力・実行力の観点から考えてみたい。

同じ調査結果によると、まず驚いてしまったのが、主任以上のある意味企業の中心となる人材であるにもかかわらず、「あなたは、業績を伸ばすための役割を担っていると感じているか」という質問に対して、「いいえ」もしくは「わからない」と答えたビジネス・パーソンがなんと約40%も存在したことだ。なんと4割!

管理部門のオペレーション業務で、直接的な業績に関係ないと答えた人もいるだろうが、会社の業績は何も営業やマーケティング、購買や生産だけが担うものではない。

管理部門であれ、重要なバリューチェーンの一環を担っているのであり、その意味を理解し、能力を持っているからこそ、主任以上の役職を与えられているのではないか。

どんな仕事であれ、業績に関係ない仕事などない。

自分の仕事が業績には関係ないと考えることは、「自分は業績アップに貢献できない」と言っているようなもので、これで会社は本当に大丈夫なのかと感じてしまうのは私だけではないだろう。

その証拠に、「役割を担っている」と答えた人の半数以上は、「自分の実行力・行動力が成果に結びついている」と答えているのに対し、「いいえ」もしくは「わからない」と答えたビジネス・パーソンは、8割近くが「結びついていない・わからない」と答えている。

経営者の方々は、この結果をどのように見るのだろう?(会社のメインとなるスタッフが、自分の行動が結果に結びつかないと思っている事実を!)

しょっぱなから、これで大丈夫かと思えるアンケート調査結果ではあったが、実はこの「役割を担う」実感は、自分のモチベーションや情熱に大きく影響している。

あたりまえの話だが、ビジネス・パーソンは組織の業績・結果に一役買っている、貢献しているという意識が、モチベーションや情熱となって表れる。

実際に、「役割を担っている」と答えた人の約82%は、「業績を伸ばすにあたって、自分のモチベーション、情熱は十分だ」と答えているし、反面、そうでない人は、約37%にとどまっている。

さらにショッキングなデータとして、「業績を伸ばすための役割意識」を感じない、わからないと答えた人のうち約24%のビジネス・パーソンは「自分のモチベーション、情熱」が「まったくない」と答えている。(「自分のモチベーション、情熱」を「普段は感じることがない」人まで入れると、60%を超える)

問題は、この「役割意識」がないと考える人たちは、「自分たちには役割が与えられていない」「役割を担うほどのメンバーがいない」と考えていることかもしれない。

要は、悪いのは自分ではない、ということだ。

自分自身とチームメンバーに対する意識の関連については、徐々に紹介していく予定だが、自分のモチベーションや情熱までも、自分以外のものに求めているとしたら、これこそ大きな問題だろう。

これから、ビジネス・パーソンが持つ、モチベーション・情熱、スキル・能力、発想力・企画力、戦略の実施計画、実行力・行動力についても考えていきたい。