横浜隼人vs平塚学園
3ラン本塁打を放った浅見君（横浜隼人）
早くも、県大会で32校が残っているだけとなり、3回戦まで進んでいる神奈川県大会。中盤の好カードかと思われた試合だったが、序盤から激しい点の取り合いとなって、思わぬ展開、思いもよらないスコアの乱戦気味の試合となってしまった。何しろ、5回を終わって1時間56分という長い試合でもあった。
先行したのは平塚学園で初回に4安打を集めて2点を奪ったが、これはその後の大乱戦となっていく展開のほんの序章に過ぎなかった。
2点を追いかける横浜隼人は2回に大反撃に出る。6番吉川君がややラッキーな二塁打で出ると、続く阿部君が中越三塁打して横浜隼人はまず1点を返す。そして、四球の走者を置いて一死一三塁から、1番浅見君の打席となったのだが、粘った浅見君はフルカウントから一振した打球は、99mと表示されている右翼フェンスを越えていく逆転3ランとなった。
しかも、横浜隼人の勢いはこれで止まらなかった。続く岡君も三遊間を破ると、平塚学園八木 崇文監督は、たまらずエース高田 孝一君を外野に下げて、2番手として左腕吉田太君を送り出したが、吉田君は一死は取ったものの日下部君に左中間二塁打されると、アウトが取れなくなってしまった。吉川君、阿部君、柏木君の連続長打などもあって、ついにこの回9点というビッグイニングとなってしまった。
横浜隼人は3回にも二死一塁から四死球で満塁として、再び吉川君以下の3連打で4点を奪った。ところが、さすがに平塚学園もそのままではなかった。4回にすぐに反撃して、石丸君が2点タイムリー打して、まずは先発の林明君を引きずり下ろした。さらには、リリーフした梅澤君にも松本君の右中間三塁打に5番に入っている高田君の中前打でさらに2点を返した。
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平塚学園・高田君
そして、その裏からは八木監督は高田君を再びマウンドに戻すことになるのだが、ここから試合はこれまでとは、全く別物のように落ち着いた。
横浜隼人も3人目の宇田川君を送り出したが、宇田川君も新しい試合の流れに乗る形で、きちっと投げて5回は両チーム通じて初めての3者凡退に抑える。
結局、試合は6回に横浜隼人が無死満塁から浅見君の犠飛でさらに1点を加えて8点差として、7回は無死で高田君に安打が出たものの、宇田川君は大差ということもあったが、慌てることなく併殺で切って取って、そのまま7回コールドゲームとなった。
終わってみれば、平塚学園は12安打、横浜隼人は14安打だったが、長打は平塚学園は4回の松本君の三塁打のみに対して、横浜隼人は浅見君の3ランを含む8本。その差が、そのままスコアの差につながったとも言えそうだ。しかも吉川君、阿部君、柏木君と6番以下の下位の3人がいずれも2本の長打を放っていた。阿部君に至っては4打数4安打2打点3得点、吉川君も4打数3安打4打点と中軸以上の大活躍だった。
試合後、横浜隼人の水谷 哲也監督は、「ウチらしいと言えばウチらしい試合かもしれませんね。前の試合を見たら、高田君はあまり調子が良くなさそうな感じでしたから、ある程度は打てるかなとは思っていましたが、浅見のホームランで、一気に流れを手繰り寄せてくれました。あの子は、時々ああいうことをやれる子なんですよ」と、やはり浅見君の一発が大きかったと評価していた。そして、「（投手陣は）投げてみないとわからないところがありますけれども、秋はこうして戦いながらまた、チームも力をつけていくんだと思います。今日なんかも、おまけの点（二死からの得点のこと）を取れるということは、それだけの力はあるということだと思っています」と、チームとしてもまだまだ伸びしろは十分にありそうだという手ごたえを感じているようだった。
（文＝手束 仁）
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