都立東大和vs京華商
京華商先発の江崎君
この日から始まった、東京都秋季大会一次ブロック予選、東大和高校グラウンドではいきなり0対0のまま延長戦に突入するという緊迫の展開。最後は、都立東大和が会場校としての意地を示した形で、辛抱の試合を何とかサヨナラ勝ちで制した。
試合は、都立東大和の三塁手山城君が京華商の先頭打者安藤君の好打を横っ飛びで好捕するというプレーから始まった。この守りに象徴されるように、試合はお互いがきっちり守って、投手が粘り強く投げて、秋季大会の序盤の試合らしい、辛抱の仕合い、守り合いという展開になった。
京華商の江崎君は、一見華奢に見える投手だが、右サイドからシュート回転のボールで右打者の内側をえぐってくるクセ球を持っている。これに差し込まれて、都立東大和の各打者は打ちあぐんでいた。
また、都立東大和の藤原君は、春から投げており、シード権獲得にも貢献し、夏も背番号11でベンチ入りもしており、キャリアは十分だ。縦のカーブが大きく、これが効果的なのだが、相性がいいので先発マスクを被ったという背番号12の岡部君のリードも巧みで、状況を見てのストレートの使い方もなかなか鋭く、ここというところでは三振も奪っていた。
こうして、お互いがチャンスを作れないまま、スコアボードには0が連なっていった。気がついたら9回まで0対0のまま延長戦になってしまった。
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都立東大和先発の藤原君
京華商としては痛かったのは5回、一死後藤村君が右中間を破る三塁打を放つ。両チームを通じての初の長打と言うばかりか、京華商としては初安打だったのだが、続く江崎君のところで三塁走者がスクイズを外される形で岡部君の送球で刺されてしまったところだ。それまでも、以降もほとんど好機らしい好機がなかったということを見ても、ここはじっくり攻めたかったところであろう。
とはいえ、都立東大和も江崎君に完全に封じ込められ、走者が二塁へ進んだのは8回が初めて。9回も一死から1番藤村君が左中間へ二塁打したものの、後続は打たされる形で凡退。
こうして延長に突入した試合は、10回もお互いが3者凡退、11回も藤原君は京華商の攻撃を簡単に3人で退ける。そして迎えたその裏、7番の藤原君からだったが、外の球を巧みに合わせて右越二塁打。7回以来の無死の走者、しかも二塁である。岡部君が丁寧に送って、一死三塁。絶好の得点機となった、というよりも、都立東大和としてはこの試合初めて三塁まで走者を進めた。9番神山君が四球で歩いて一三塁となって、1番藤村君は迷うことなく初球を振っていって、これがセンターへの犠牲飛球。これで都立東大和がサヨナラ勝ちを決めることとなった。
都立東大和の福島 靖監督は、「会場校としても、初日だけ試合をして（負けて）終わりでは、シャレにもなりませんからね。とりあえずは勝ててよかったですよ」と、安堵していた。「相手投手がいいとはわかっていたんですけれども、それでも、もっと打てると思っていたんですけれどもね、かなり差し込まれていました」と、バント安打を含めて6安打という打撃には課題を残したと言いたげだった。それでも、粘り強く投げた藤原君と、その持ち味を引き出していた岡部君のバッテリーに関しては評価していた。
（文＝手束 仁）
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