アメリカvs韓国
試合が始まったのは午後12時3分。雨による中断を挟んで終わったのは午後6時45分。1次ラウンドから持ち越された成績が2勝0敗の韓国と、1勝1敗のアメリカとの対戦は、最後に思わぬドラマが待っていた。
先制したのは韓国。1回裏、韓国は四球の安尚鉉（アン・サンヒョン）は林錫進（パク・ソンジン）の左中間の安打で、スタートが良く、俊足を飛ばして生還。1点を先取した。
韓国の先発、右の崔忠然（チェ・チュンヨン）は、雨の中でも得意のスライダーの威力は落ちない。しかし、4回表アメリカは、左前安打のバクストは二盗を失敗したものの、4番プラットが四球で出塁。5番アムダィティスの左前安打の返球をミスする間にプラッドが生還して同点に追いついた。3回まで好投していた崔忠然であるが、雨が降りしきる中、手の滑りを気にしはじめる。次打者に四球を出したところで、左腕の朴世津（パク・セジン）に交代。後続を二ゴロに仕留めたところで雨脚が強くなり試合中断。3時間近く中断した後、午後4時から再開された。
再開とともにアメリカは投手を先発・ギャレットからアンダーソンに交代。アンダーソンは、球は速いものの制球に難がある。一死後、黄善導（ファン・ソンド）が四球で出ると、続く朱暁祥（チュ・ヒョサン）が右前安打で一死一、三塁。ここでアメリカの捕逸があり韓国は1点を勝ち越した。
7回裏には一死から1番崔元準（チェ・ウォンジュン）が右中間への飛球。これを俊足の崔は三塁打にする。続く勝負強い安尚鉉が二塁ベースに当たる中前安打で韓国は1点を追加。さらにアメリカの失策によりもう1点追加し、勝負は決したかに思われた。
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・2015年 第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
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9回に逆転本塁打を放ったブレーク・ラサーフォード（アメリカ）
しかしアメリカは8回表に1点を返した後、運命の9回の表を迎える。この回先頭の7番ベンソンが四球で出塁しると、続く代打のダナーはレフト線の二塁打で無死二、三塁。続くは日本戦（試合レポート）では2番だったがこの日は9番のラサーフォード。下位でもパワーは侮れないのがアメリカ打線。ラサーフォードは、8回途中からリリーフした李渶河からセンター、ややライト寄りの柵を越える3ラン本塁打で試合を一気にひっくり返した。
「一塁が空いているのに、正直にいき過ぎた。試合時間が長くなり、早く終えたいという気持ちがあったのかもしれない」と、韓国代表の李鍾道（イ・ジョンド）監督は語る。
アメリカは攻撃の手を緩めない。韓国は遊撃手を守っていた抑えの切り札・朴鍾泳（パク・ジョンヨン）をマウンドに上げたが、朴からも押し出しなどで2点を奪い、点差を3点に広げた。
9回裏、韓国の攻撃も四球1つに終わり、結局7対4でアメリカが勝ち、ともに2勝1敗とした。手痛い逆転負けを喫した韓国は、明日は日本との試合。「今日負けて、明日の試合の意味は、より大きくなりました。選手は早く気分を変えて、明日に備えたい」と李監督。
李渶河が逆転3ランを打たれ、朴鍾泳が失点するといったように、抑えの投手が役目を全うできなかっただけでなく、日本戦の登板も予想された左の朴世津も使った。韓国としてはかなり厳しい敗戦であるが、追い込まれた韓国は、決して油断できない。
（文＝大島 裕史）
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