香りを楽しむならお吸い物で。

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最近は料理ドラマや小説もブームでいわゆる内食がますます注目されている。そこでユネスコ無形文化遺産にも登録された和食の基本となる「出汁」の、美味しい使い方を調べてみた。

まず、気軽に使えるのは「だしの素」。
西日本の代表的な商品である「シマヤ出汁の素」が昨年発売50周年を迎えた、シマヤに、だしの素について伺ってみた。

「弊社のだしの素は、関西で好まれている鰹とこんぶの合わせだしの素や山陽、四国で好まれているいりこだしの素、山陰、九州北部で好まれている焼きあごだしなど、地域性のあるラインナップが自慢です」
と言う通り、出汁の素は昆布にカツオにイリコなど、種類が多い。

ではどの味を、どのタイミングで使えばいいいのか。
「こんぶだしの素は、お吸いものやきゅうりの浅漬けなどに、いりこだしの素は、みそ汁、煮ものにおすすめです」

使い方のポイントとしては、みそ汁やすまし汁では沸騰する直前にだしの素を加えてサッと煮立て、すぐ火からおろすこと。こうすることで香りが飛ばず、だし本来の風味を楽しめる。実が根菜類の場合は、味を染みこませる意味でも最初に分量の半分のだしの素を入れ、残りは仕上がり直前に加えると、コクのある仕上がりになるのだそう。
さらに、しっかりとだしの味を付けたい煮物では、最初からだしの素を入れて煮込むと美味しく仕上がるのだとか。

続いて、出汁の基本「かつお節」について、元禄時代に創業した、株式会社にんべんさんに伺ってみた。
「かつお節と日本人のお付き合いは長いんです」
と、にんべんさん。

鰹を干した「堅魚」、カツオの煮汁や煎汁、煮て干した「煮堅魚」は大和朝廷の頃より貴重な調味原料として日本人に愛されていたそうだ。室町時代になると今のかつお節の原型に近いものが誕生。江戸時代前期には東南アジアに向けて輸出された記録がある。そして江戸時代後期にはかつお節にカビを付ける技術が深まり、かつお節文化が花開いた。

上記の通り、かつお節といっても種類は一種ではない。焙乾させた「かつお荒節」、焙乾させてカビを付け、さらに水分を飛ばすことにより、発酵食品としての実力を持つ「かつお枯節」。どちらも時代を超えて今でも大切に受け継がれている。
 
そんなかつお節を使ったすすめの料理はお味噌汁やお吸い物。
「鍋に水1000ml沸騰させ、差し水を入れたあとにかつお節30gを加えて軽く沸騰させて火を止めます。かつお節が沈んだら布やキッチンペーパーなどでこせば一番出汁。かつお枯節はお吸い物、かつお荒節はお味噌汁に、それぞれのかつお節の味わいが分かる料理におすすめ。この使い終わったかつお節を弱火にかけて10分ほど煮込めば二番だし。こちらは煮物などにおすすめです」

凝った料理もいいが、出汁を取れば簡単で美味しい。素を使う時はもちろん、本格的に取る時もコツさえ掴めば料理店の味わいに。バテやすいこれからの季節。しっかり出汁のきいた美味しい内食で、体調を整えていきましょう。
(のなかなおみ)