欧州組合宿が終了…「濃い週末だった」と達成感を口にした香川真司

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文=元川悦子

 6月1日から千葉県内で行われてきた欧州組の代表合宿も7日が最終日。この日は早朝3時45分からチャンピオンズリーグ決勝のユヴェントス対バルセロナ戦が行われ、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督や選手たちもライブ観戦したというが、午前午後の2部練は予定変更など一切なし。午前10時から12人全員が1時間半程度のトレーニングをしっかりこなした。

 初日から合流している長谷部誠(フランクフルト)ら8人はランニング、6対2のボール回し、体幹強化という今合宿で最も軽いメニューにとどまったが、長友佑都(インテル)と岡崎慎司(マインツ)、本田圭佑(ミラン)と香川真司(ドルトムント)の4人は12分間走からスタート。長友・岡崎はサーキットトレーニングに移り、本田・岡崎はタッチライン幅の約60メートルを10秒で走るスプリント練習を12本消化。最後にはダッシュしながらのドリブルシュートを行うという相変わらずのハードメニューだった。午前練後には地元の子供たち46人に対しファンサービスを実施。本田が選手全員を入れて写真撮影を提案するなど、和気あいあいとした空気が流れた。

 そして午後は初日合流組8人と長友・岡崎がオフとなり、本田・香川の2人だけがスペシャルトレーニングにのぞんだ。そのメニューは長友・岡崎が4日午後に消化したものとほぼ一緒。マルセイユルーレットを入れながらのパス交換やメッシ流の細かいドリブル練習などに多めの時間を割いた。東舞子SCや神戸NKサッカークラブ、FCみやぎバルセロナ時代からスキル練習を欠かさなかった香川は非常にスムースな動きを見せ、練習場に訪れた2100人の観客から拍手を浴びるなど、技術レベルの高さを強く印象づけた。

「今日の練習は楽しかったですけど、観客も多かったから、いいプレッシャーの中でやりました。こういう練習は大事だし、こういう時にしかできない。改めて基本練習であったり、ドリブル練習のタッチの細かさであったりは大事だと思いました」と彼自身も満足そうに語っていた。5日午後に合流し、合計5回のトレーニングをこなした香川は「2部練っていうのは精神的にも疲労が濃いですし、そういう意味でも濃い週末でした」と苦笑しつつも、達成感を得た様子だった。

 霜田正浩技術委員長も今回の前倒し合宿の成果を改めて強調していた。

「非常に選手たちが頑張ってくれて最後までケガ人が出ず、予定していたメニューを全部消化できた。非常に有意義な合宿だった。監督も感じていますが、選手たちは1年シーズンが終わって少しゆっくりしたいとか、やっと一息ついたところだった。そこで気持ちをもう一回奮い起こしてこの予選が終わるまではシーズンを終わらせないと。選手も頑張ってくれたんで非常にいいキャンプになりました。こういうキャンプは日本以外ではなかなかできないんじゃないかと思う」と、自己主張の強い欧州やアフリカで長年仕事をしてきた指揮官の気持ちを、霜田氏は代弁していた。

 ハリルホジッチ監督が得た手ごたえを本物の成果にするためには、11日のイラク戦と16日のシンガポール戦で3月シリーズより大きく前進した日本代表を見せなければならない。エースナンバー10を背負う香川はその筆頭。新体制発足後はまだ無得点なだけに、今度の2連戦ではよりゴールに強いこだわりを持って挑むつもりだ。

「来シーズンのドルトムントもそうですけど、やはり結果を残していかないと評価されないし、その意欲はホントに増してます。この代表2戦で絶対結果を残したい。どうやったら点を取れるかっていう道筋はこの1週間で立てていきたいと思います」と本人も自らに言い聞かせるようにコメントしていた。

 本職のトップ下で今季ドルトムントの終盤戦に見せた輝きを示せれば、彼の思い通りの結果になる可能性は大いにある。今回の香川には期待していいだろう。