子猫殺し坂東眞砂子さん ポリネシア政府ついに告訴
日経新聞に掲載されたエッセイ「子猫殺し」を執筆した作家・坂東眞砂子さんを、ポリネシア政府が告訴することが明らかになった。坂東さんが06年8月18日付け同紙で「子猫殺し」を告白したことに端を発する一連の騒動は、結局、坂東さんが法的責任を法廷で追及されることになった。
仏領ポリネシア政府は06年9月13日の閣議で、坂東さんに賠償金を請求するとともに告訴することを決定した、と発表した。ポリネシア(タヒチ)に住む坂東さんの「子猫殺し」での発言を受けたもの。同政府は次のような声明を発表している(抜粋)。
政府は愛玩動物に対する虐待行為を断罪する
「(坂東さんの行為に対して)愛玩動物、飼われている、もしくは捕獲された野生動物の保護に関する2001年2月1日に議決された第2001-16決議2条を想起するよう望む。それには、『飼われているもしくは捕獲された野生動物と同様に愛玩動物を虐待することを禁ずる』となっている。つまり、犬や猫は仏領ポリネシアで適用される条例によって保護されているものである。これらの措置に違反するものは、15万フレンチ・パシフィック・フラン(FCFP)(日本円にしておよそ19万5000円。06年9月25日現在)以下の罰金が科せられ、再犯の場合はその2倍の罰金が科せられる」
この様な理由のもとに、さらに次のように同政府は述べている。
「政府はこの件について、愛玩動物に対するこうした虐待行為を断罪するとともに、この作家の発言と行為に対して遺憾の意を表する。よって、政府は賠償を命じるとともに、検事に従い告訴することを決定した」
仏領ポリネシア政府は、坂東さんの行為を「虐待行為」とみなすとともに、その違法性によって告訴することになったというわけだ。
裁判での判決は、かなり先のことになりそう
この件についてはいまだ裁判の手続きには至っていない模様で、裁判での判決はかなり先のことになりそうだ。しかし、この結果に対し、タヒチの動物愛護団体「Fenua Animalia(主要ポリネシア動物愛護協会)」副会長は次のように語る。
「この閣議決定がマスコミに広く報道されたとしても、彼女のことをポリネシアで語ることなどないほどに、私たちの願いは正義によって十分かなえられるでしょう。とても良かった」
一方で、坂東さんは06年9月22日付の毎日新聞に
「ペットに避妊手術を施して『これこそ正義』と、晴れ晴れした顔をしている人に私は疑問を呈する。エッセーは、タヒチでも誤解されて伝わっている。ポリネシア政府が告発する姿勢を見せているが、虐待にあたるか精査してほしい。事実関係を知らないままの告発なら、言論弾圧になる。」
とのコメントを寄せている。