今後の経営方針について説明する平松庚三ライブドア社長(撮影:吉川忠行)

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ライブドア<4753>の平松庚三社長と清水幸裕副社長は24日、東京都千代田区の日本記者クラブで会見し、経営方針などを説明した。平松社長は「あらゆる事態を想定している」というスタンスはそのままに、外部調査の結果を踏まえて再建計画を進め、6月までに開催を予定している臨時株主総会後に取締役に就任する可能性を示唆した。

 また、従来の堀江一極集中体制をチームプレーの経営体制に変えていく決意を表明し、「堀江がライブドアに帰ってくることはない」と宣言した。

 日本記者クラブでの記者会見での一問一答は次の通り。

―― 中核事業として新設した「ビジネス・ソリューション」は、これまでファイナンス部門が行っていたコンサルティング業務とどう違うか?

平松 これまでもコンサルティング業務を行う事業部はあったが、今後はそれをコアにして経営資源を集中しようとしている。そのコアのコアになるのは弥生。私がよく知っている分野をコアにしたい。

―― コアを決めたが、どの部分を切り捨てるのか?

平松 今後つめていきたい。

―― 「馬鹿野郎と言いたい」というのは誰に対してか?

平松 ライブドアに対して。そこには私自身やライブドアがやったことすべてを含む。

―― コンプライアンス強化委員会の報告で、「一部取締役」というのは堀江氏を指すのか?

清水 堀江1人ということではない。個人名はでていない。

―― 逮捕された人たちとの認識でいいか?

清水 そうですね。

―― 委員会の提言をいつ実行するのか?

清水 順次できるものから、やる。

平松 臨時株主総会前にできることは、その前にどんどんやる。

―― 外部調査委員会はいつ設置するのか?

平松 今日発表したかったが、現在、これまで仕事の関係のなかった外部の会計監査法人、法律事務所にお願いをしているところ。社内のほとんどのパソコン、書類が押収されているので、調査の際にどの程度地検で閲覧可能か様子を見ている。近々、正式に発表できると思う。

―― 米国で業務のある山崎(徳之)氏を、なぜ代表取締役に選任したのか?

平松 熊谷が選任されたとき、山崎は他社の役員をしていた。山崎はその会社の最後の仕事として、米国に行っている。出発前は熊谷の逮捕は予想していなかった。

―― 臨時株主総会で、平松社長は取締役になるか?

平松 取締役会から指名、承認されれば、全力で取り組む。

―― 証券取引法違反で刑が確定した場合、ファイナンス事業ができなくなるのでは?

清水 会社として刑が確定した場合、法律上、金融庁から3カ月以内に主要株主の変更を促される可能性があることは認識している。それに対しても、対応策を考えている。

―― 上場廃止が確実と思えるが、そうなった場合、経営にどういう障害があると思うか?

平松 経営や人生、世の中にはコントロールできるものと、そうでないものがあるが、コントロールできないものにも、対応していかなければならない。上場廃止か維持かはコントロールできないが、そうであれば、“Seek the 2nd best”(次善の策を考える)。すべてのリスクについて、コンティンジェンシー・プラン(危機管理計画)を作っている。

―― 堀江前社長が黒字化を指示した。粉飾決算については堀江氏は「知らない」と言っているが、“経営のプロ”として見て、そういうことは知りえないものか?

平松 「黒字化しろ」というのは、世界中の赤字企業、赤字部門を持っている経営者が言うことではある。粉飾があったかどうかについては、捜査中なので後々の議論に委ねたい。

―― 熊谷氏の辞任は、臨時株主総会まで待つのか? それとも、裁判所に仮取締役の選任を依頼するのか?

平松 現在、法律事務所を通じて、仮取締役の選定を始めている。この手続きが終わり、仮取締役が決まれば、熊谷は辞任する。

―― 社外取締役の設置と監査役会の充実とあるが、人選はどの程度進んでいるか?

平松 私だけの判断ではなく、第三者や専門家の意見を確認してから決める。

―― 東証への情報開示にどのような考えを持っているか?

平松 以前は開示事項などのガイドラインに基づいてはいたが、すべてわれわれで決めてかかっていた。そこに今回の混乱の間接的な原因があったと思う。現在は、何を開示すべきかを含め、東証とコミュニケーションを取っており、以前と比べて東証とのやり取りは2−3倍になっている。

―― リスクのあるファイナンス事業をなぜコア事業に据えるのか?

平松 すべての事業にはリスクとオポチュニティ(機会)がある。われわれの仕事は、オポチュニティを最大化、リスクを最小化することだ。

―― 仮取締役は誰が就任するのか? 平松社長か?

平松 私や社内の人間ではない。裁判所が弁護士などから選任する。

―― 現在の業績は?

平松 非常に苦労しているとは言えるが、(ライブドアは)上場企業なので、一部に情報開示するわけにはいかない。懸命にリカバリーしている。

―― 新しい仕事のパートナーは?

平松 現時点で具体的な話はない。(つづく

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