6日、有楽町朝日ホールで『ホテル・ルワンダ』主人公モデルのポール・ルセサバギナさんが講演した(撮影:佐谷恭)

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1994年のルワンダ大虐殺を描いた映画『ホテル・ルワンダ』のチャリティー試写会とシンポジウム「今、アフリカで何がおこっているか?」(ピースビルダーズ・カンパニー主催)が6日、東京都千代田区の有楽町朝日ホールで行われ、同映画の主人公のモデルであるポール・ルセサバギナさん(51)が講演した。

 国連の報告によると、94年4月7日にルワンダと隣国ブルンジの両大統領が暗殺されたのを契機に、ルワンダでは約100日間で80万人が虐殺される事件が起こった。植民地時代から対立構造にあった多数派のフツ族が少数派のツチ族を虐殺したとされるが、両者の区別は必ずしも明確ではない。

 ルセサバギナさんは、当時を回想し「私たちが信頼していた国連が目をそらし、耳を傾けることなく、逃げてしまった。国連がルワンダから去ることを決めた直後から、人々は隣人を殺し始めた」と話した。家族で殺し合い、積み上げられた死体の上でビールを飲む人がいるような狂気の沙汰で、多くの人々は生き残る希望が全く持てなかったという。当時、同国の首都キガリにあるミル・コリン・ホテルを管理していたルセサバギナさんは、家族や隣人を含む1268人を同ホテルに匿い、虐殺の魔の手から人々を守った。

 同映画をきっかけに世界中から声がかかるようになったルセサバギナさんは、2005年には100回を超える講演をし、紛争地の視察なども行った。ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の強制収容所解放60周年のニュースで、大国のリーダーたちが「虐殺は繰り返さない」と口を揃えていたのを見て、辛い気持ちになったという。ルセサバギナさんは、虐殺の現場から帰ったばかりだった。

 ルセサバギナさんは、会場に集まった600人の聴衆に「世界の無関心が悲劇を生む。この映画を契機に、認識を改めてほしい。そして、メッセンジャーになってほしい」と訴えた。

 『ホテル・ルワンダ』は、1月14日に東京都渋谷区のシアターN渋谷で上映が開始され、春までに全国13カ所で上映が予定されている。【了】

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