【ファンキー通信】iPod以外からも金を取れ

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 5月20日の【ファンキー通信】にて、「私的録音録画補償金制度」の見直しについて触れたのを覚えておいでだろうか。「権利者の利益を守るため、iPodに代表されるHDDミュージックプレイヤーやデータ用CD-R/RWにも課金しようとする動きがある」という、あの話だ。

 前回も、“純粋にデータ保存用としてCD-Rを利用する人もいるだろうに、「音楽が録音できるから課金するべき」とは、いかがなものか? ”と書いたが、この話には続きがあった。なんと、現在補償金を受け取っている3団体、日本音楽著作権協会(JASRAC)、日本芸能実演家団体協議会、日本レコード協会をはじめとする7つの音楽団体は連名で、「PC内蔵のHDDや外付けHDDなど、これまで汎用機器とされてきた製品も対象に含めるべき」という趣旨の意見書を提出していたのだ。(文化庁・文化審議会・著作権分科会 法制問題小委員会(第3回)議事録より)

 これはいかにも横暴な話だ。汎用機器にまで課金の手を広げたら、それこそデジタルデータが記録できるあらゆるメディアが課金の対象になる可能性が出てくるではないか。極端な話、USBメモリにしたって「あっそれも音楽保存できるから、課金ね!」ってな話である。権利者が権利を主張するのはもっともな話ではあるが、ユーザーの用途が定かではないものに対してまで、権利を主張するのはどうだろうか?

 今回の「私的録音録画補償金制度」の見直しについて、法制問題小委員会委員でもあり、同小委員会に意見を提出した全国地域婦人団体連絡協議会事務局長の加藤さゆり氏は言う。

 「最近ではインターネットなどから音楽をダウンロードする人も増えていると思いますが、デジタル技術を使い、このように実際に私的録音録画を行っている消費者に対しての個人課金をする仕組みを充実するべきではないでしょうか」。

 音楽を録音するつもりのない人からも補償金を徴収しようとする現在の制度は、実際に音楽をダウンロードしている人は野放しなのが現状だ。制度として抜本的な改革が必要なのは確かだが、はたしてiPodを引き合いに出し、権利者が自分たちの権利を主張するばかりなのは、正しい姿勢と言えるだろうか? 疑問だ。

 また加藤さんは、「利用者に対して、きちんと私的録音録画補償金制度の説明がされていないことも問題だ」とも言う。私たちが徴収された私的録音補償金は約23億3920万円(2003年度)。その中で20%(約4.7億円)が「著作権の保護、および著作物の振興と普及のために使われている」そうだ。って、あなたは「私的録音録画補償金制度」についてどれほど知っていただろうか? この補償金は、MDレコーダーなどの機器の価格にも含まれているのである。実は私たちのほとんどが、「きちんと内容を知らないままに支払っている」のではないだろうか?

 本来の著作権保有者であるアーティストに補償金がしっかりと還元される仕組みを作るとともに、私たちユーザーにもしっかりと説明をしていくべきである。(文/verb)