マリナーズ・岩隈久志【写真:田口有史】

マリナーズの14年ぶりプレーオフ進出の鍵を握る投手陣

 マリナーズ岩隈久志投手がその絶大な制球力から「コントロール・アーティスト」と地元メディアに称賛されている。地元紙「USAトゥデー」が「球団レポート。マリナーズが13年間の大干ばつを終わらせたいと願う」と特集している。

 2001年以来、プレーオフに出場していないマリナーズだが、昨季はア・リーグ西地区3位ながらワイルドカード争いで最後までプレーオフ進出を争い、あと一歩というところでロイヤルズ、アスレチックスに競り負けた。2位アスレチックスとはわずか1ゲーム差だった。

「失望感を手にみな家路についた。すごくいいシーズンだったのだが、まったくその喜びを味わえなかった。スプリングトレーニングでも我々には(プレーオフ出場に)あそこまで近づいたのに、という後味の悪さが残っていることだろう」

 ジャック・ズレンシックGMはこう語っている。

「ヘルナンデスがナンバー1で、2番手はコントロール・アーティストの岩隈が入る」

 今オフ、マリナーズはオリオールズからフリーエージェント(FA)となった昨季ア・リーグ本塁打王のネルソン・クルーズ外野手を獲得。昨年40本塁打、108打点のスラッガーに得点力アップを託すことになるが、ズレンシックGMは昨季リーグNO.1の防御率3・17を誇った投手陣こそが躍進の鍵を握ると見ているようだ。

 フェリックス・ヘルナンデス投手、岩隈というエース級が健在なマリナーズの投手陣の評価は高く、寸評でも「ア・リーグのサイヤング賞投票で2位に選出されたヘルナンデスが牽引するマリナーズの先発陣は防御率3・48でリーグ3位だった。若きパクソン、ウォーカー、エリアスが成長を続ければ、今年は更に向上することになる」と分析。

 またA・J・ハップの獲得も評価した上で「ローテーションのトップ2人は素晴らしい名手だ。ヘルナンデスがナンバー1で、2番手はコントロール・アーティストの岩隈が入る」と言及し、岩隈の制球力を称賛している。

 昨季開幕前の自主トレ中に右手中指を負傷して出遅れた岩隈だが、結局、自己最多の15勝(9敗)、防御率3・52でシーズンを終えた。与四球わずか21という制球力は芸術の域に達していると地元メディアにも認識されているようだ。メジャー4年目を迎える“アーティスト岩隈”がマリナーズを14年ぶりのプレーオフ出場に導けるか。