昨日の野球の話題で最も注目されたのは、甲子園での藤浪晋太郎、大谷翔平の初対戦だろう。はしなくも二人の資質の差が見て取れたように思えた。
藤浪の投球成績

otani-fujinami

3週間ぶりの1軍での登板であり、肩が軽かったようで、軽く投げても球威のある球が来ていた。
1回に相手の先発武田久がつかまって6点の援護をもらったために、2回以降はさらに楽にはなった。
走者が出るとクイックで投げることができたし、打者にも落ち着いて投げていた。ただ、球はナチュラルなシュートはしているが、球筋は素直で打者はそれほど苦にせずに捉えていた。

大谷翔平との対戦

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中田翔の時もそうだったが、いわく因縁のある相手との対戦を大いに意識しているようで、大谷には152km/hを投げ込むなど、力勝負を挑んでいた。カットボールで左飛に打ち取るも、大谷は余裕をもって投球を見ていた。

4回の対戦は気負いがなくなっていたが、大谷は真ん中の速球を逆らわずに流し打って二塁打。6回も甘い速球を中前にきれいに弾き返した。

大谷は、速球に的を絞っていたと言うが、実にやわらかなフォーム。芯を捉える技術はすごいと思った。すでに打者としては「雰囲気」がある。

二人の投球を比べてみると、大谷は155km/h超の球でもコマンドが利いている。一番良い球は速球だと言えるが、藤浪は150km/hを超すと「行先は球に聞いてくれ」になりがちだ。速球を見せ筋にして、カットボールやスライダーなどの球の緩急で攻めている。投球術では大谷よりは進化している印象だ。わずかな期間でプロの投手になっている。

ただ、面構えは大谷の方がはるかに上。口を真一文字に結んで打者、投手と対峙する様は絵になっている。藤浪は二重瞼で眠そうな印象。気迫が前に出てこない。
体形としても逆三角形の大谷と、細長い藤浪では信頼感に差がある。

我々は入団騒ぎを通じて、大谷に関する情報は藤浪よりも多くもっている。キャラクターを描きやすくなっている。藤浪はまだとらえどころがない感じだ。

藤浪は職人気質の先発投手になる感じがするが、大谷はどうなっていくのかよくわからない。ただ、あのスケールの大きな打撃は本当に捨てがたい。

夏場に向けて過剰な期待をかけることなくプレーしてほしい。できれば2軍での調整を挟みながら出場してほしいと思う。