ヤンキースと2年総額1300万ドル(約10億8000万円)で残留に合意したイチロー外野手(39)。思い起こされるのが、06年オフのバーニー・ ウィリアムスのケースだ。一方は複数年契約を勝ちとり、一方は退団に追いこまれた。「背番号51」の縁で結ばれた2人のスーパースター。明暗を分けたもの は何だったのか。

 イチローがヤンキースと2年契約で合意し、残留が決定。これであと394本と迫っているメジャー通算3000安打をヤ軍で達成する可能性が出てきた。

 今回の契約で思い出すのが、06年オフに同じようにヤンキースからFAとなったバーニー・ウィリアムスだ。生え抜きとして4度の世界一に貢献した「背番号51」の外野手は、38歳だったその年打率2割8分1厘、12本塁打、61打点をマーク。今季のイチローの2割8分3厘、9本塁打、55打点と遜色ない数字を残していた。ただし、9月以降2割5分、1本塁打と調子を落とすと、タイガースとの地区シリーズでは控えに降格。出場は3打席だけだった。

 タイミングも悪かった。07年の外野手レギュラー、松井秀喜、J・デイモンが09年まで、B・アブレイユも08年まで契約を残していた。進境著しいM・カブレラが控えにいたから出る幕はない。

 現役生活をヤンキースで全うしたかったバーニーに対し、球団首脳が2月に出した結論は、キャンプ招待でのマイナー契約。オフから交渉を続けていた代理人のS・ボラス氏の剛腕を持ってしても、なすすべがなかった。バーニーは「もし、ヤンキースが本当に残留してほしいと思っているならば、今頃は契約を結んでいるだろう」とチームへの不信感を残したままユニホームを脱いでいった。

 それに比べれば、レギュラー級がグランダーソンとガードナーの2人だけだったイチローは時期的にも幸いした。もちろん、7月にマリナーズから移籍し、ヤ軍では67試合に出場し打率3割2分2厘、5本塁打、14盗塁と全盛時の成績を取り戻したことも首脳陣への大きなアピールになった。

 もし、来季打率3割を残したのなら私は提案がある。7月のヤンキース移籍時にオリックス時代から着けていた背番号51について、バーニーへのリスペクト(敬意)から「とても現段階で、ボクの方からお断りというか、とても着けることは出来ないので、これから新しい番号(31)をボクの番号にしたい」と話していた。が、ぜひ51番を要求してほしい。米野球殿堂入りのパスポートと言われるメジャー3000安打を51番で達成することをバーニーも喜んでくれるはずだ。=随時掲載=