試合 :2014年ワールドカップ アジア最終予選 第3戦
開催日:2012年6月12日
結果 :引き分け
スコア:「1−1」
得点者:栗原勇蔵 ウィルクシャー(PK)

○ 日本代表選手評価(10点満点)

FW:前田遼一
MF:香川真司 本田圭佑 岡崎慎司
MF:遠藤保仁 長谷部誠
DF:長友佑都 今野泰幸 栗原勇蔵 内田篤人
GK:川島永嗣

FW:前田遼一
MF:本田圭佑 清武弘嗣
MF:遠藤保仁 長谷部誠
DF:長友佑都 今野泰幸 伊野波雅彦 酒井宏樹
GK:川島永嗣


前田遼一:5点

オマーンやヨルダンを相手にした時のような高いパフォーマンスは望めないだろう、という事は、ある程度想定されていたかなと思います。また、ポストプレーをするにしても、起点を作るにしても、あの荒れたピッチでは、どうしても正確にプレーできない場合が多いですよね。やはりそういう場合にモノを言ってくるのは、タフさとシュート力だと思います。味方をどう活かすか、よりも、自分がどう活きるか。そこが少し足りなかったかなと思います。

簡単に言ってしまえば、どうやって前を向いて、どうやってシュートを撃つのか、そこの部分だったかなと思います。そこにもう1つのアイデアを持たないと、オーストラリアぐらいのレベルの相手からは、なかなか得点は奪えないかなと思います。ケーヒルはやはり怖い選手で、放り込まれたボールをマイボールにする能力は脅威でしたが、その割にはあまり恐怖を感じなかった。なぜかと言えば、シュートがあまり無かったからですね。つまり、前田にも同じような事が言えたと思います。


本田圭佑:8点

攻守において高いパフォーマンスを見せていました。そのキープ力や攻撃力は当然の事として、遠藤が前に上がってしまってカウンターを受けそうになった時、全力で戻って相手を止めたプレーには感動しました。体力的には少し厳しくなっていたと思うのですが、その判断力と意識の高さには驚かされました。後は直接FKだけかなと思います。直接FKがもっと良くなってくれば、今の本田には何も言う事が無いかなと思います。

しかし、もし贅沢を言わせてもらえるならば、戦評のところで書いたように、やや香川と岡崎が中へ入り過ぎていたので、その2人に対して、もっとサイドへ、という事を指示できるようになると、つまり、ピッチの中の監督のようになる事ができると、まさにキングになれるかなと思います。そういう戦術的な部分を見極めて指示できる選手がピッチ内に存在しているのといないとでは大きく違ってくるので、そこも本田には目指して欲しいですね。


香川真司:6点

ザックもある程度は、その判断を任せるようにしているのでしょうか? この試合の香川は、ヨルダン戦の後半のように、かなり中へ入ってプレーしていました。やはりバイタルエリアでの香川は良いプレーをしますし、また、本田と香川の2人がポジションの流動性を持つ、という事は必要なのですが、この試合に関しては、もう少しサイドでプレーして欲しかったですね。少し前田や本田のプレーするスペースを潰していたところもあったかなと思います。

但し、個人のプレーとしてはさすがで、それも、もう少しシュートの意識があっても良かったかな、とは思いますが、相手を引き付けてパスを出すプレーなどは秀逸でした。しかし、繰り返しになりますが、この試合に関しては、サイドからDFラインの裏へ斜めへ動くプレーであったり、サイドで起点を作って相手を誘き出すプレーであったり、そういうプレーがより必要だったので、そのあたりの判断力はもっと欲しいところですね。


岡崎慎司:5点

右SHの位置からCFの位置へ入る。そのタイミングが早過ぎたように思います。香川や本田や遠藤がルックアップした時に、もうCFの位置へ入っていましたが、それよりもサイドからDFラインの裏へ、斜めに動くプレーで本田や香川や遠藤からのパスを受ける。そういうプレーを意識してやって欲しかったと思います。それから、これは香川と同じですが、サイドで起点となる、そういうプレーをもっと意識してやる必要もあったと思います。

PA内に入ってから仕事をしようとするのではなく、PAの外からPAの中へ入って仕事をしようとする。それから、やはり岡崎の基本ポジションはCFではなくSHなので、もしくはウイングなので、もっとピッチを広く使う、という意識でプレーする事も重要だったと思います。更には、これは前田と同じですが、最後のところでのアイデアですね。どのように前を向くのか、どのようにシュートを撃つのか、そこにアイデアが足りていなかったかなと思います。


長谷部誠:5点

どうしても、致命傷になりかねないミスというのがあると、高い評価というのは付け難いですね。全体的なパフォーマンスとしては、攻守に良かったと思うのですが、ビックリするようなミスが2〜3回ぐらいありましたので、それは無くして欲しいですね。パスが、少し前へ前へという意識が強過ぎるかなと思いますし、また、バックパスをする時のキックが雑ですね。もう少し冷静に周囲を見て、丁寧にパスを出して欲しいと思います。

更には、横パスを奪われるのは確かに危険ですが、しかし、縦パスも前への勢いを持って奪われたら危険ですから、そのシーンでどちらを選択するのが良いのかというのは、正しい判断が必要だと思います。もしかしたら、止まった状態でボールをキープするのが、あまり得意なのではないのかもしれませんが、それなら運ぶドリブルでボールをキープする力を高めるなど、もう1つのレベルアップが必要かなと思います。


遠藤保仁:6点

守備に関しては、バイタルアリアのところをしっかり埋めよう、長友のサイドをサポートしたりカバーしたりしよう、というプレーがやれていましたので、特に問題は無かったかなと思います。但し、本田が戻って守備をしたあのシーン、あそこは前に行った事が良かったのか悪かったのか、かなり微妙なところで、個人的には、どうしても勝ちに行かなければならない、得点を取りに行かなければならない、という試合では無かったので、ちょっとどうだったのかなと思います。

遠藤の場合には、時には意表を突いて前に飛び出す事も良いとは思うのですが、しかし、あまり前掛りにプレーして欲しくは無いと思っていて、戻れるスピードや運動量が無い、という事もそうですが、何よりも、前で威力を発揮できる選手は揃っていますので、遠藤には少し低い位置で常に起点を作って欲しいと思っています。3ボランチならばあれですが、2ボランチという事もありますし、長谷部も前に行く選手なので、場合によってはCBとCBの間に入ってプレーする、そういうプレーの方をやって欲しいなと思います。