Facebook(以下、Fb)を使用している人は要注意だ。最近、エロ動画を再生しただけで「いいね!」や「シェア」ボタンが自動的に押され、Fb上でつながっている人たちとその動画を共有してしまうというトラップが猛威を振るっている。

 5月1日、Jリーグ柏レイソルのDF増嶋竜也(ますしま・たつや)選手が、あるエロ動画に「いいね!」ボタンを押したことが同選手のFbページのニュースフィード(Fb上で何をしたのかを公開する機能)に表示された。その動画はタイトルが英語で書かれており、日本語に訳すと「女は馬とすごく痛いセックスをした後、死んだ!」。あまりにもマニアックなタイトルのため、ネットで話題になった。

 増嶋選手はすぐにFbを退会、翌2日には自身のブログで「私個人のFacebookページ上に不適切なサイトへのリンクが投稿される事態が発生しました。(中略)誤ってスパムメッセージのリンクを押してしまったことが原因です」と釈明した。

 こうしたトラップはFbユーザーの間に広がりを見せており、ツイッターや2ちゃんねるに被害報告が続々と寄せられている。ITジャーナリストの井上トシユキ氏がこう説明する。

「あるボタンに、見ることができない別のボタンを仕込み、ユーザーの意思とは無関係にクリックさせることを『クリックジャッキング』といいます。今回、流行しているのは、このトラップですね。増嶋選手のケースはエロ動画の下に『いいね!』『シェア』『クリック広告』の3つが仕込まれてあったのだと思います」

 クリック広告?

「クリック数が増えれば増えるほど、そのサイトを運営している人に広告主から報酬が支払われるというシステムです。このトラップを仕掛けた人はFbのユーザー数の多さに目をつけたのでしょう。『いいね!』と『シェア』を仕込むことによって、芋づる式で膨大なFbユーザーにその動画を見せることができるのですから」

 実際に、そのマニアックなタイトルの動画には世界中から約360万のアクセスが集まっていた。

「この手法は珍しいものではありません。今回のケースは動画をFbで共有してしまったとしても、増嶋選手以外には深刻な問題にはならない。しかし、『クリックジャッキング』にはウイルスが仕込まれていることもあります。もし、ウイルスが拡散されてしまえば多くの人が甚大な被害に遭っていました」(前出・井上氏)

 う〜む。それは確かにヤバい。一方で、こういう意見も。ウェブ制作会社に勤務する、あるエンジニアは言う。

「詳しいことは話しませんが、『いいね!』ボタンを見えないくらいに透明にする方法があるのです。例えば、それをリンクや動画の再生ボタンの上に配置してしまえば、気づかれずに『いいね!』を押させることが可能なのです。この方法を知ってさえいれば、素人でも簡単にFbを使ったクリックジャッキングができます。なので、今回の『獣姦動画トラップ』はイタズラ目的の愉快犯によるものではないかと思っています」

 いずれにせよ、見ていたエロ動画がFb上に“公開”させられてしまうというのはツラすぎる。このトラップに引っかからない方法はないのだろうか。アダルトサイトに詳しいライターの中村浩之(ひろゆき)氏に聞いてみた。

「まず、当たり前の話ですが、『怪しい』と思った動画の再生は避けること。また、アダルトサイトを見るときは必ずFbからログアウトしてください。いちいちログアウトするのが面倒くさいという人には、プライベート機能がついたブラウザを新たに開くことをオススメします。例えば、WindowsのIEには『InPrivateブラウズ』、Firefoxには『プライベートブラウジング』といった機能があり、これを使えば手軽にすべてのサイトからログアウトした状態で検索履歴も残さず、動画を見ることができます」

 ネットなしでの生活が考えられない今、クリックに対する警戒心が薄れている人も少なくないだろう。でも、やはりネットには大なり小なり危険が潜んでいる。こういう、ちょっとした注意は払っておくべきだ。

 ちなみに、この「獣姦動画」。実際に見てみたところ、3人の白人男性がグダグダしゃべっているだけの白黒動画だった。大して面白いものは映っていないし全然エロくないから、興味本位で再生しないように。

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