ルイス・エンリケ監督がローマを去る。もはや噂だけではない。同監督は10日、週末の最終節チェゼーナ戦を前に、選手たちに別れを告げた。トリゴリアの練習場で、トレーニング終了後、L・エンリケ監督はテクニカルスタッフと全選手を集め、ボールに座って全員に囲まれながら話をした。ピッチ中央での話が終わると、ローマを去ることを告げた。

L・エンリケ監督は明らかに感極まっている様子だった。フランコ・バルディーニGM(ゼネラルマネジャー)やワルテル・サバティーニSD(スポーツディレクター)に見守られ、その目は潤んでいた。L・エンリケ監督は全員に感謝し、「選択をしなければいけなかった」と謝罪した。数分間の出来事だ。

L・エンリケ監督は欧州カップ戦出場権を得られず、今季のヨーロッパリーグは予選で敗退し、ダービーでは2戦連敗。リーグ戦37試合で14敗を喫した。指揮官は選手たちに、全責任を負うと話している。

「私にとって、去ることは大きな敗北だ。自分が望んでいたことを伝えられなかった。100%を出し、望んでいたアイディアをピッチに出すことができなかった。君たち全員の価値を高めることができず、申し訳ない。誰かの責任で去るのではない。自分が望むようにチームを指揮できなかったからだ。自分が空になったと感じている」

選手たちからは指揮官に対する敬意がすぐに示された。彼らがL・エンリケ監督に愛情を感じていた証だ。同監督の今シーズンは、大きな期待と忍耐を促す声で始まった。計画を立てる必要があり、異なるサッカーを推し進める必要があった。だがローマでは、そしてイタリア全体において、それは簡単なことではない。むしろ、不可能なようだ。

クラブのサポートも足りなかった。再三にわたり、L・エンリケ監督を引き留めたいとしていたローマだが、同監督はますます困難な状況へと陥っていった。会見は常に緊張感に包まれ、浮き沈みが続いたのだ。結果が出ず、敵意は大きく高まった。そして、2年契約が全うされることはなかった。

いずれにしても、L・エンリケ監督はイタリアでほかにない人物としての役割を果たした。起用メンバーはサプライズで、招集メンバー発表もぎりぎり。試合ごとにメンバーが変わる「トト・ルイジート」は、常に周囲を驚かせた。加えて、好まれないチョイスもあった。アタランタ戦で、ミーティングに少し遅れたMFダニエレ・デ・ロッシをメンバーから外したこともその一つだ。

だが、L・エンリケ監督が決断した理由の一つに、家族のことがあったことも言っておかなければならない。夫人と子供たちはローマの環境になじめなかった。

これからローマはどうなるのだろうか? アンドレ・ビラス=ボアス氏の名前が騒がれているが、ポールポジションにいるのはヴィンチェンツォ・モンテッラ監督だ。同監督はローマのユニフォームを再び着るべく、カターニアとの別れに近づいている。