アルガルベ杯決勝
女子ドイツ代表 4−3 女子日本代表
(3月7日 ポルトガル・ファロ=フジテレビ)

★決勝激闘、日本が2度追いつく
 ポルトガルで開かれていたアルガルベ杯の決勝を、日本時間午後10時からのテレビ生中継で見た。日本対ドイツである。
 日本は前半22分までに2点を失った。世界のトップレベルの強敵に0−2とリードされれば追いつくのは難しい。そう考えるのがふつうである。
 しかし、テレビを見ていて「逆転の可能性はあるぞ」と思った。ドイツが張り切って攻守に動き過ぎている。日本のパスの組み立ては悪くない。後半、ドイツの動きが鈍ったら2点くらいはとれそうだ。それからが勝負だろうと推測した。前半のうちに1点を返して1点差で折り返したので、逆転の希望はますます膨らんだ。
 後半10分に2−2の同点に追いつく。ドイツがPKで再び勝ち越す。終了間際に日本が再び同点にする。推測通りの展開になった。

★優勝は逃したがプラスも
 このまま引き分け。PK戦かな? と思ったのだが、ドイツもしぶとかった。日本が同点にした直後、追加時間に入ってから決勝点をあげて日本の望みを砕いた。
 「なでしこJapan」は優勝を逃したが、収穫は十分あったと思う。
 決勝戦についていえば、スリリングな攻め合いをテレビで日本の人びとに見てもらえたことが、まず良かった。見た人は優勝が簡単ではないことを知っただろう。また「なでしこ」の粘り強く、すがすがしい戦いぶりに今回も感動しただろう。
 7月のロンドン・オリンピックへ向けての「強化」の面でも収穫があった。
 澤穂希が休んでもドイツや米国を相手に対等に戦えたことが、まず収穫だった。宮間あやをリーダーに使ってみることができたのも良かった。新しい戦力、新しいポジションを試してみることもできた。

★ロンドンのメダルは見えてくる
 「なでしこJapan」で感心したことが二つある。
 一つは、佐々木則夫監督の用兵である。
 ロンドン・オリンピックへ向けて、新しい顔ぶれや、新しいやり方を試してみたい機会だった。ところが、テレビ中継が入り新聞社も特派員を送りこんで異様に注目が高まった。
 そうなると、優勝をめざして最善を尽くし、マスコミの期待に答えたくなる。
 しかし、佐々木監督はロンドンへの展望を見失わずに、選手起用や流動的なポジション変更などで必要な試みを、きちんと実行した。
 感心したことのもう一つは「なでしこ」の選手たちが、佐々木監督の狙いに応えるプレーをできたことである。90分通してではないにしても部分的には示していた。これを90分間に延ばす可能性は十分にある。そうなればロンドンのメダルは見えてくる。