「花粉症じゃないから大丈夫」−−。そんなことを言っていられないのが、間もなく飛散が始まる“セシウム入りスギ花粉”だ。
 「林野庁が、福島県など15都県のスギ林182カ所で、スギの雄花などに含まれる放射性セシウムの濃度調査を行った中間報告が公表されました。そのデータによると、セシウム濃度は最も高いスギ林で1キログラム(乾燥重量)あたり約25万ベクレル。過去の飛散最高値を当てはめ、成人が花粉を吸入することで被曝する放射線量を計算すると、1時間あたり0.000192マイクロシーベルト、飛散期間4カ月の累計値は、0.000553ミリシーベルトになると試算されています。実際に大量飛散する期間は数週間程度ですから、現実には林野庁の試算結果よりも随分と少なくなるはずです」(化学系専門誌記者)

 要するにこの程度のセシウム量なら体内被曝を過度に心配する必要はないということらしい。しかし政府のデータは、“信号機が青だから大丈夫”と言われても信じられないのが昨今の国民のサガ。果たして花粉吸入による内部被曝を、花粉用マスクで防ぐことができるのだろうか。

 この疑問に対しては、日本放射線安全管理学会学術大会の回答として「マスクにより内部被曝量を減らせる」とある。しかし、ある耳鼻科専門医が指摘する。
 「これでは『マスクをすれば問題ない』と勘違いしてしまいます。市販の中には性能が不十分なものも多い。スギ花粉を完全に防ぐには『N95』規格以上の防塵マスクでないと意味がありません」

 N95マスクとは、米国労働安全衛生研究所の規格をクリアし認可されたもののことで、1個2000円前後。東電には、電気料金値上の前にマスク分の値下げをしてもらいたいものだ。