ラツィオ移籍は実現しなかったが、本田には更なる高見を目指してほしい (C) Tsutomu KISHIMOTO

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先月31日、日本代表・本田圭佑のラツィオ移籍交渉は合意に至ることなく、CSKAモスクワ残留が決まった。

今月1日、ロシアのスポーツ紙「SPORT EXPRESS」は、CSKAモスクワ強化責任者のババエフ氏の談話を掲載。ラツィオとの破談は、移籍金額面に乖離があったことが原因であると改めて伝えている。

これにより、本田が常々口にしているビッグクラブへの移籍という夢は先送りとなったが、この数週間、日本では本田を巡る報道にファンが一喜一憂を繰り返した。

問題はいわずもがな、一貫性なきジャーナリズムにある。サッカー界のご意見番、セルジオ越後さんは、自身のコラム上で「ジャーナリズムのない日本の報道」と題し、怒りをぶちまける。
移籍マーケットの世界では交渉がこじれるのはよくあることで、野球でもヤンキースと交渉していた中島裕之が西武に出戻った。ビジネスが絡む話だから、単純ではないし、本田には気にせずがんばってもらいたいね。

そんなことより問題なのは、日本国内で「移籍決定」の報道が一部メディアから発せられたことだ。とにかく売り上げに邁進した結果の、ひどい煽りだ。実際には根回しの段階だったはずだが、売り上げに対する余裕がないから突っ走り、でっちあげのようなものを出してしまったんだ。さらに、その後のフォローもないのだから、いかんともしがたいものがあるね。

また、Blog版「蹴閑ガゼッタ」の小林遼次さんは、交渉破談確定直後に「霧散した本田のラツィオ移籍」として
本田の最終目標はレアル・マドリーの選手になる事だそうですが、25歳という彼の年齢を考えても、今から中堅クラブを1つ挟んでまた移籍を狙うというのは、今後も冷え込みが予想される欧州の経済状況を考えるとあまり現実的では無く、次でのステップアップでどのクラスまで行けるかに勝負がかかって来ると思います。

そこまでにCLで活躍すればまた移籍金も上がってしまうかもしれませんが、まずは焦らずじっくりと膝を治して、ベストコンディションに上げていく事に集中してもらいたいものです。
と前向きに期待を寄せるも、その最後には、一度は「本田のラツィオ移籍決定」と報じたスポニチに対し「土下座してもらわないと」と綴っている。

そんな折、今月に入って浮上してきた移籍の話題といえば、原口元気のナポリ移籍の報だ。「浦議」では、「イタリア紙イル・マッティーノ『ナポリが原口元気を今夏に獲得することがほぼ確定的となった』」の中で、スポニチ紙の報道を紹介したが、「確定的となった根拠がわからないがイタリアでは確定的と報じている模様」と半信半疑で伝えている様子がうかがえる。

同じく、「じゅにじゅに」ブログでも「原口元気がナポリが欲しがっているらしいけど、ホンマかいな?の件」と題し
ガセネタだと思いつつも、レッズサポなんで反応しておきましょう。

(中略)

阿部ちゃんが浦和移籍へ”基本合意”と報道して監督が否定、本田がラツィオに”決定”とか報道したら結局破談。阿部ちゃんの件は結局本当になったけれども、すっかり”飛ばし”記事のイメージがネット住民に染み付いてしまったスポニチさんですから、話半分に聞いておきます。
としながらも、その後半では、周辺情報を併せ読み「”確定的”は言い過ぎだよね、ね、ね」と締めている。

誤解を恐れずいえば、移籍に関する噂やデマはサッカー界の風物詩として捉えているファンも多いことだろう。また、この手の報道が出た際には、決して鵜呑みにはせず――と説く者もいるが、報道機関が「確定」「決定」と伝えたことを疑ってかかったなら、彼らの存在とは一体なんなのだろうか。報道のあり方を改めて考えさせられた「本田のラツィオ移籍騒動」だった。

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