かつては憧れの就職先だった東京電力。若手社員は何を思う?

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 6月より主要企業が来年度入社採用の選考を開始している。しかし、東日本大震災の影響で面接日程などの延期が相次ぎ、就職活動の長期化は必至。学生にとっては、今年も厳しい就活となりそうだ。

 そんななか、企業選びの基準のひとつとなるのが実際に企業で働く先輩たちの声。就活生たちがうらやむ人気企業に勤める彼らは、自分の仕事にどのような思いを抱いているのだろうか。

 今月、文化放送キャリアパートナーズが発表した「大学生の就職ブランドランキング」で1位に輝いた「三菱東京UFJ銀行」に勤める24歳の男性はこう話す。

「ノルマが厳しいのはサラリーマンなので仕方ないことだと思うが、公正な評価がされているとは思えない。人事評価イコール支店長評価。いかに支店長に気に入られるかにかかっている。上司のご機嫌とりをしたり、酒につきあったりすることで、いい取引先を持たせてもらえることも。すべての支店が同じ雰囲気ではないのだろうが……。入社前の銀行員への憧れはもはやない」

 また、常に就活人気企業ランキングで上位に入る「JTB」に勤める26歳の男性は、自社の評価を100点満点中30点と厳しく採点する。

「就職人気企業ランキングの上位常連だが、合コン受けはサッパリ(苦笑)。理由はたぶん給料が安いから。まあ、エイチ・アイ・エスよりはもらえているのだろうが、社内の男性上司を見ても、ふたり目の子供ができると辞める人もいる。つまり、今の会社の給料では家族を養っていけないってこと。俺も結婚前に転職したほうがいいのかなと悩む。業界最大手といっても、利益率が驚くほど低く、楽天トラベルなどネットをメインにする他社の攻勢も激しい。将来は暗い」

 こうした人気企業ランキングは、東日本大震災前後でその順位に変動が見られる。なかでも、震災前は「高収入で堅実な会社」として合コンでの女のコ人気も絶大だった「東京電力」の評価は今や地に落ちた感さえある。そんな東電に就職したばかりの25歳の男性は、自社の評価を0点としながらも、仕事への心意気をこう述べる。

「上層部の記者会見などでの“上から目線”対応は内部から見てもひどい。親方日の丸体質で、上司の大半が思考停止状態。例えば、震災後の計画停電に関して『被災地も対象にするのはまずい』と意見を言っても、『上が決めたことだから……』となる。一事が万事、その調子。給料ダウンも決まった。将来的にはセクションごとに別会社として独立するのではないか。それでも、ほかの会社に勤め直したいとは思わない。上が腐っているのなら自分が変えてみせる。原子力部門への異動希望です。渦中の東電で踏ん張りたい」

 結局はどんな会社でもやりがいを得るのは自分次第、ということだ。

(写真/井上賀津也)