撮影:野原誠治
ハロルド作石の大人気コミック「BECK」を完全実写化した本作で、コユキに恋心を抱くヒロイン真帆を演じた忽那汐里。彼女自身、14年間オーストラリアで生活していたという海外育ちで、劇中のヒロインと同じ経歴を持つ。そんな自身の経験や演技への思い入れなど、17歳の素顔に迫った。


―――「BECK」は少年コミックスが原作の作品ですが、撮影に入る前に読まれましたか?

忽那汐里:(以下、忽那)真帆役のオファーをいただいたときに原作のファンがとても多い作品だと聞いたので、撮影に入る前、台本を読む前に映画で描かれる10巻まで読ませていただきました。今までマンガを読むという習慣がなかった上に、男性向けの青春マンガというものも初めて読んだので、すごく新鮮味がありました。登場するキャラクターも個性的で、とくに竜介と真帆はNY育ちという設定なので、何となく自分と重なる部分もあって懐かしさや親しみを感じながら読みました。

―――作品への出演が決まったとき、周りの友人の反応はいかがでした?

忽那:原作ファンのクラスメイトも周りにたくさんいて、中には「オマエが真帆かよ」って言う人もいましたけど(笑)。

―――今回演じられた真帆は忽那さんと同じく海外育ちで、英語と日本語の両方で演技をされていましたが難しさはありませんでしたか?

忽那:バイリンガルといっても仕事として英語を使うことがほとんどないので、英語での演技のときの気持ちのスイッチの入れ方が難しかったです。しかも全部が英語というわけでもなく、急に英語になったり、日本語になったりといったシーンが多かったので難しかったです。

―――本作は「音楽」がテーマですが、ご自身の生活の中で音楽はどんな位置づけですか?

忽那:一日の生活の中で、朝起きてから常に音楽を聴いていることが多いですね。基本的に音楽のある環境で生活するのが心地いいですね。私にとって音楽は生活にリズムを付けてくれるもの、日常にリズムをつけてくれるものとして大切な位置づけになっています。

―――今回演じた真帆はすごく積極的な女の子ですが、自分とシンクロする部分はありますか?

忽那:周りの人からは「全体的に似ている」と言われますから、大まかな部分では近いのかもしれません(笑)。帰国子女役と聞いてイメージするような、大胆でストレートで自由という要素は自分の中にもあるし、その逆ですごくナイーブだったりする面もありますから。

―――忽那さんから見て、真帆という女の子はどんな子ですか?

忽那:「素直でストレートにしか行動できない子だな」と思います。素直さが表に出ていて強いという印象がある分、「中身はとっても繊細なんだろうな」って思いますね。

―――恋愛のアプローチの部分ではどうですか?

忽那:恋愛に対してはあまり主導権を握りたいとは思わないタイプですね。アプローチも真帆みたいにグイグイできないです。でも不器用さとかはちょっと似ているかも(笑)。

―――真帆を演じるにあたって気を付けたポイントはありますか?

忽那:自分自身のことなんですが、「日本で生活をしていく上で大事だな」と感じたのは、ある程度「周りに合わせる」ということ。ここ何年か心がけてきたんですけど、ずっと14年間海外にいたので「感覚的なところを取り戻すことって難しいな」と感じていました。その経験から真帆を演じるときに気をつけたのは、ひとつひとつの身振りや手振りの大きさですかね。周りを見て合わせて、ということを実践してみました。