夏に開かれるコミックマーケット、通称夏コミ。今年は8月15〜17日の3日間、東京ビッグサイトで開催される。「電車男」以降、オタク文化はすっかり一般にも知られるようになり、コミケという響きとその目的も周知されてきた。正直、オタクじゃないけど行ってみたい!と考えている非ヲタも少なくはないのではないだろうか。そこで、夏コミを始めて体験する人のために、抑えておきたいポイントを紹介する。

 夏コミは当日ぶらりと出かけても入場できるイベントだが、事前に入手しておきたいものがある。「カタログ」だ。これには会場内の案内図や参加者への注意事項などが掲載されている。注意事項は一般常識に照らし合わせて考えれば他人から言われるまでもないことも多いが、コミケならではの注意点もあるので、一通り目を通しておきたい。カタログ内の「まんがレポート」はさまざまな注意喚起を促すとともに読み物としても十分楽しめる仕上がりだ。カタログはアニメイト、とらのあな、まんだらけなど、漫画系書店の店頭や、コミケ運営に大きく関わっている有限会社「コミケット」の直営店などで販売されている。

 夏コミは開催日が盛夏ということもあり、暑さ対策は必至。入場するまでに行列ができることも多く、紫外線対策、水分補給はしっかりと行っておきたい。とはいえ会場内は飲食禁止なので、熱中症対策の飴(これも“飲食”に含まれるだろうか?)などを持ち込むといいかもしれない。汗を拭くタオルも忘れずに。わかりやすくいえば夏のロックフェスに出かけるような準備であれば十分だと思う。

 気になるのがここ数日、関東を襲っているゲリラ雷雨。会場内は問題ないだろうが、帰り道にせっかく買った本やグッズが濡れてしまわないよう、防水素材のバッグや袋があるといいだろう。コミケ常連者でも同人誌がずっしり詰まった紙袋が路上や電車内などで破損し、中身をぶちまけるという恥ずかしい体験をしている人は大勢いる。非ヲタなら紙袋が重みに耐えられないほど大量に買い漁ることはないと思われるが、コミケで“覚醒”する人は多い。そういったこともあるということを覚えておこう。

 夏コミで一番持ち合わせていなければならないのは、体力と根性。大げさに聞こえるかもしれないが、人の多さは想像を絶する。会場の外での行列に始まり、やっと入場できたと思ったら広い会場内にも人がぎっしり。人ごみを縫うように歩き、欲しいアイテムがあればまた行列に並ばなければならないのだ。特に多くの非ヲタにとってのお目当てとなるだろう企業ブースの込み具合はなにかの冗談かと思うほど。これを読んで尻込みしてしまった人は行かない方が安全だろう。特に小さな子供を連れて行くことは相応の覚悟が必要になることを忘れないでもらいたい。

 最後に一つ、コミケならではの注意点を。コミケでは、同人誌やグッズをお金を払って買うのだから自分はお客様だ、などと考えてはいけない。コミケに客は存在しないのだ。コミケでは売る側も買う側も、ついでに言えば運営側も“参加者”。あくまで立場は対等であり、お客様は神様的なサービスを求めてはいけない。小さなことでも感謝と気遣いの気持ちを忘れないようにしよう。やってもらって当たり前のことなど、コミケではなに一つないのだ。

(編集部 三浦ヨーコ)