15日、不二家本社で謝罪し、辞任を表明する藤井社長(中央)。(撮影:吉川忠行)

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不二家<2211>の藤井林太郎社長は15日、消費期限切れの原材料を使用した洋菓子を製造・出荷していた問題で、3カ月をめどに再発防止策をまとめ、その後に引責辞任すると表明した。また、社長自身の役員報酬を、1月分から全額返上することも明らかにした。

 同日、公表した調査結果では、◆18件の期限切れの原材料使用が発覚◆プリンの消費期限が社内規定より1日長く表示されるケースが頻発◆生菌数が基準を超過している洋菓子を678個出荷◆札幌工場で製造された生洋菓子で基準を超えた細菌数を検出――などが新たに報告された。11日の発表では、期限切れ牛乳の使用は8件、消費期限を長く表示したのは1件のみなどと説明していた。

 さらに、期限切れ表示問題については複数の社員や現場責任者が関わっており、組織ぐるみだったとの認識も明らかにした。期限切れ原材料使用については、従業員単独による判断ではなく上からの指示によるものとしたが、指示を出したとされる役職については言明しなかった。

 東京都中央区の同本社で開いた記者会見で、藤井社長は「会社の体質そのものに重大な問題があった」と陳謝。製造再開については、工場停止から20日以上かかるとの考えを示し、全国約700のフランチャイズ店舗に行う休業補償は1週間あたり総額1億円以上に上るとした。

 また、再発防止策として、◆藤井社長を責任者に据えて第3者を加えた調査機関を設置◆工場で使用しているマニュアルの点検と運用の徹底◆食品衛生をチェックするチームを組織――などを挙げた。山梨、山形工場や、洋菓子以外の菓子工場についても調査を進め同様の対策をとるとした。

 同社によると、15日の時点で、スーパーなど小売り約30社が不二家商品を撤収しているという。また、11日の問題公表から今日までの問い合わせ件数は300件程度で、うち36件が体調不良に関する報告だったことを明らかにした。

 2時間45分に及んだ会見では、記者席から、具体的な商品名や担当者の役職について明らかにするよう求める声が噴出。「不確かな段階で情報を提供することはできない」と繰り返す同社担当者に、批判の声が相次いだ。

 11日には「問題が発覚すれば雪印の二の舞になる」との内部資料が明らかになるなど、隠蔽(いんぺい)体質が指摘されており、コメントを求められた藤井社長は「複雑な要因が重なり合っているので、何が原因かはわからない」と言葉を濁すのみだった。【了】

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