11日、東京都中央区の不二家本社で謝罪する藤井社長ら(撮影:東雲吾衣)

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大手菓子メーカーの不二家<2211>は11日、埼玉工場(同県新座市)で消費期限切れの牛乳をシュークリームの製造に使用していた問題を受け、品質管理の徹底が図れるまで、全国5カ所の洋菓子工場の操業を停止し、全国約900カ所のチェーン店やレストランでの洋菓子販売を休止すると発表した。

 同日、東京都中央区の同本社で開いた記者会見で藤井林太郎社長は、「品質管理体制が不十分で、関係各所にご迷惑をおかけした。誠に申し訳ございません」と陳謝した。

 その上で、埼玉工場で昨年10月から11月かけ、消費期限切れ牛乳を計8回使用し、少なくとも2000個のシュークリームを製造したことを認めた。消費期限切れの牛乳の使用については、原料廃棄に関する内規の内容が不十分であった点と、従業員への周知の不徹底が原因と説明。問題に関わった従業員は聞き取り調査に対し、「技術的に問題ないと思った。味を見て使っていた」などと話しているという。

 さらに、同工場で新たに発覚した不適切な製品製造を公表。◆賞味期限切れりんごの加工品を計4回使用しアップルパイを製造した◆プリンの消費期限を社内基準より1日長く表示していた◆食品衛生法の基準値の約10倍の細菌が検出された洋菓子「シューロール」を出荷していた――として、これらの製品を新潟や福島など1都9県に出荷した可能性があることを明らかにした。健康被害の報告はないというが、幼児などが製品を食べると腹痛を起こす場合があるという。埼玉のほか北海道、栃木、大阪、佐賀の工場を、安全性が確認されるまで操業停止とする。

 今回公表された問題は、昨秋の社内会議で報告されていたが、事実関係の公表までに2カ月以上かかった。公表が遅れたことについて藤井社長は、「考え方が甘かった。対応策に気をとられ、(公表することには)意識が及ばなかった」と責任を認めた。

 また、同会議の中で「(問題を)マスコミに知られたら、雪印の二の舞になりかねない」という文書が幹部に配布されていたことも明らかになった。

 同社は今後、第3者を入れた社内調査を進めるとともに製造マニュアルの徹底や改訂などを実施し、原因究明と再発防止に取り組むとした。洋菓子販売の再開時期については「生産を開始するまでに最低でも1週間はかかる」(藤井社長)との見方を示した。経営責任については、「社会的な信頼回復を第一義に考えたい」と述べた。【了】

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