鳥取県の若桜鉄道が「昭和」の内覧会を開催。同県初の観光車両を一目見ようと、沿線の住民や鉄道ファンらが集まりました。

WT3000形、2回目の更新工事

 鳥取県の八頭町から若桜町を結ぶ第三セクター鉄道・若桜鉄道が、観光車両を導入。その第1号となる車両が改造工事を終え、2018年3月1日(木)に若桜駅(鳥取県若桜町)で内覧会が行われました。


披露された若桜鉄道の観光車両「昭和」(2018年3月1日、伊原 薫撮影)。

「昭和」と名付けられたこの車両は、これまで若桜鉄道で使用されてきたWT3000形ディーゼルカーを改造したもの。同社では、1987(昭和63)年にJRから若桜線を受け継いで営業を開始した際に、WT2500形を導入しました。この車両を2002(平成14)年ごろから更新改造し、エンジンなどの機器を取り換えたものがWT3000形です。つまり、今回の「昭和」への改造は、同車にとって2回目の更新工事ということになります。

 今回の更新工事では、外観や車内のイメージを一新。JR九州の豪華列車「ななつ星in九州」をはじめ、全国各地の観光列車を手掛ける水戸岡鋭治さんがデザインを担当しました。

招待客が乗り心地を堪能

 デザインにあたっては、「地域の人が乗りたくなる、地域のための車両」を念頭に、若桜鉄道の駅や沿線などから連想された「昭和」をキーワードに設定。外観は、若桜谷を流れる川をイメージした青色としました。また内装は、水戸岡さんがデザインした車両ではおなじみとなった、木と布を多用した暖かみのある雰囲気に。地元の人が普段使いやすい列車を目指し、座席はボックス席と、窓を背にして座るロングシートを併設したセミクロスシートにして着席できる人数を確保しました。


「昭和」の外観(2018年3月1日、伊原 薫撮影)。

「昭和」の車内(2018年3月1日、伊原 薫撮影)。


 シンボルマークは、社名や地名にもある「桜」を図案化。若桜鉄道の沿線には桜の名所が点在しており、そのなかを鮮やかな青色の列車が走ることになります。

 若桜駅構内で行われた内覧会では、沿線住民のほか県外からも鉄道ファンなどが訪れ、熱心に撮影する姿が見られました。また内覧会に先駆けて試乗会も開催され、抽選で選ばれた約120人が「昭和」の乗り心地を早速堪能。試乗会に参加した若桜町在住の親子連れは「これまでの車両とはまったく違う、おもちゃ箱のような内装が楽しい。また乗りに来たいです」と話していました。

 若桜鉄道の「昭和」は2018年3月4日(日)に営業を開始します。当面は毎週日曜にツアー専用列車として運転されるほか、それ以外の日は他の車両と共通で普通列車にも使用される予定です。