電子タバコの利用者は禁煙しやすいことを示す研究結果
By Vaping360
専用のリキッドを入れて水蒸気を吸い込む「電子タバコ」は若者の間で通常の紙巻きタバコを上回るほどの人気を獲得しつつあります。さらに、15年間にわたる16万人からの調査データから、電子タバコの利用者は禁煙に成功しやすい傾向があることが示されています。
E-cigarette use and associated changes in population smoking cessation: evidence from US current population surveys | The BMJ
E-cigarettes linked to helping people quit smoking - The Verge
https://www.theverge.com/2017/7/26/16034130/e-cigarettes-smoking-cessation-health-tobacco-nicotine
カリフォルニア大学サンディエゴ校の家族医療・公衆衛生学部およびムーアがんセンターの研究チームは、2001年から2015年の間に16万人を対象にした「禁煙率」の調査データを分析した長期研究結果を、学術論文誌・The BMJに掲載しています。研究チームによると、電子タバコの喫煙者が禁煙を試みた場合、電子タバコではない喫煙者より禁煙に成功する確率が高いことがわかったとのこと。
「禁煙に挑戦する人の数」でも電子タバコとそうでない人の間で隔たりが見られ、電子タバコの喫煙者の65%が禁煙に挑戦していたのに対して、それ以外の喫煙者で禁煙に挑戦したのは40%にとどまっています。それぞれ禁煙に挑戦した人のうち、3カ月間の禁煙に成功したのは、電子タバコの喫煙者で8%、電子タバコ以外の喫煙者で5%となっており、電子タバコを吸っている人の方がわずかに禁煙に成功しやすい傾向があることを示しています。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の発表は、数少ない電子タバコに関する大規模な研究の1つとなりますが、電子タバコが登場したのは比較的最近のことであるため、電子タバコのデータは2014年〜2015年の1年間のものが使われています。また、対象者に対して「どの種類の電子タバコを吸っているか」という聴取はしていないため、一概に「電子タバコが禁煙しやすい」というわけではないことに留意する必要があります。
なお、専用のニコチンリキッドを過熱して水蒸気を吸う電子タバコは、喫煙者の「イライラ」を解消するニコチンの成分だけを体内に取り込むことが可能。紙巻きタバコに比べてタールなどの発がん性物質を吸引せずに済むという点から、「紙巻きタバコより健康的」といわれ、電子タバコの人気の理由の1つとなっています。
By Ecig Click
しかし、一部の研究では電子タバコの水蒸気内にがんを引き起こす可能性のある成分が含まれていることを指摘する研究結果も出ています。「健康的」という評判から非喫煙者がタバコを吸い始めてしまう危惧もあり、出始めたばかりの電子タバコの健康への影響には、さらなる研究が必要とされています。