写真提供:マイナビニュース

写真拡大

●十分なスペックにMoto Modsによる拡張性が加わる
モトローラスマートフォン「Moto Z Play」は、Motoシリーズのハイエンド端末である「Moto Z」よりも低価格なミドルレンジのモデルで、Moto Zと同様に「Moto Mods」に対応し、拡張性の高さがポイントの製品だ。ハイエンド端末のMoto Zにない魅力も備えたMoto Z Playを試用してみた。

Moto Zは、厚さ5.19mmという超薄型のボディにQualcomm Snapdragon 820と4GBメモリ、64GBストレージ、5.5インチスーパーAMOLEDディスプレイ(2560×1440)を搭載したハイエンドのAndroidスマートフォン。それに対するMoto Z Playは、本体の厚みが6.99mmとなり、チップセットもSnapdragon 625に変更されており、メモリ3GB、ストレージ32GB、ディスプレイが5.5インチSuperAMOLED(1080×1920)といったスペックとなっている。

Moto Zに比べればスペックが落ちるとは言え、8万円を超えるMoto Zに対して、45,000円程度と安く、購入しやすい。スペック的にも、一般的な低価格スマートフォンに比べればハイスペックといってもよく、十分満足できるレベルだろう。Snapdragon 625は、市場のSIMフリースマートフォンではミドルクラスの製品に多く採用されており、困ることはまずない。メモリも3GBで大きなアプリの利用でも問題は起きにくいだろう。

Moto Zと同様にMoto Modsにも対応する。Moto Modsは、背面に用意された専用端子とマグネットを活用してアクセサリを接続し、機能を拡張するための仕組みだ。強力なマグネットなので近づけるだけでピタッとはまってズレたり落ちたりすることもない。ケーブルとは違って抜き差しの手間もなく、また無線と比較すると安定して確実に接続できるのがメリットだ。

Moto Mods自体は現在、プロジェクター機能を備えた「Moto Insta-Share Projector」やスピーカー「JBL SoundBoost Speaker」、外部バッテリの「Incipio offGRID Power Pack」、そしてカメラメーカーのハッセルブラッドのブランドを冠したカメラ「Hasselblad True Zoom」といったオプションが用意されている。これらとは別に、コンテストなども実施しており、今後の拡大を図っているようだ。

個人的には、バッテリ駆動時間を拡張するPower PackとカメラのTrue Zoomが便利そうだと感じた。True Zoomに関してはテストしたが、スマートフォンカメラではありえない光学10倍ズームレンズを搭載し、デジタルカメラっぽく利用できる。デジタルカメラを持ち歩くよりは簡単だし、撮影データはスマートフォンに記録され、そのままSNSなどに投稿できる点も便利だ。

薄型のMoto Zの方が、Moto Modsを装着した際の収まりはいいが、カメラのTrue Zoomは適度な厚みになって、むしろ持ちやすさが向上するというメリットもある。

こうした独自の拡張機能は、利用者の拡大とラインナップの拡充が肝となるため、ハイエンドのMoto Zだけでなく、比較的低価格のMoto Z PlayでもMoto Modsに対応したのはうまい戦略だ。スマートフォンを買い換えても、Moto Modsを継続して使えるというメリットもあるはずで、今後のモトローラの展開に期待したいところだ。

●シンプルで使いやすいユーザーインターフェース
Moto Z Playは、OSにはAndroid 6.0を採用しているが、配信が始まっている最新版のAndroid 7.0も利用可能だ。UIはシンプルで、素のAndroidのUIを採用。メーカー独自カスタマイズがない分、アップデートも早期に行われることが期待できる。Android標準のUIのため、面白みや独自性はないが、NexusなどのAndroid標準UIに慣れている人ならば移行しやすいだろう。

独自アプリもほとんどなく、Moto Mods用の管理アプリと、音声コントロールなどの「Moto」が搭載されているほかはGoogleの標準アプリだけしかない。自分で好きなアプリをインストールできる反面、初心者にとっては最初のハードルとなる部分だろう。とはいえ、ここで慣れておけばのちのち便利ではあるし、初心者こそシンプルなUIで慣れるべきかもしれない。

独自機能としては、「Moto」アプリからジェスチャー、音声操作、通知設定が行える。ジェスチャー機能の「Actions」では、端末を2回振り下ろしてフラッシュライトのオン・オフ、画面上をスワイプしてアプリ画面の小型化、ディスプレイを下に向けておくことで無音化、画面に手を近づけるとMoto Displayを点灯、着信時に端末を持ち上げるとバイブレーション切り替え、端末を持ってて首を2回ひねるとカメラを起動、といった操作が行える。

音声操作では、「OK, Moto」などと起動フレーズを決めて行うのだが、起ち上がるのはGoogleの音声検索で、起動フレーズを設定できる点が特徴。Moto Displayは、画面オフの状態で一部の通知を表示する機能。有機ELディスプレイを使っているからこその機能で、手を近づければ時計や通知が表示されるのは意外に便利。

面白いところでは、「日本のSIM」を挿入しない状態でカメラを利用するとシャッター音が鳴らない。NTTドコモやソフトバンク、それらを利用したMVNOといった日本向けのSIMカードを挿入すると、それを認識してシャッター音をオンにするようだが、一度も日本のSIMを挿していない状態だと、シャッター音を鳴らさない設定ができる(一度挿入したあとは、シャッター音をオフにできなくなる)。日本など一部の国に特有のシャッター音が必ずなるという機構にあわせた仕組みだろうが、海外用の端末として日本のSIMを挿さずに使うというのも面白いかもしれない。

Moto Zはハイスペックな上、とにかく薄さが際立っているのでインパクトはあるが、Moto Z Playは持ちやすさやコストパフォーマンスに優れ、実用性も高い。Moto Modsも使えて拡張性もあるため、薄型ハイスペックをご所望というユーザー以外はMoto Z Playで十分だろう。

●Moto Z PlayのMoto Zに対する優位点はこれ
Moto Z PlayのMoto Zに対する優位点の1つは、「デュアルSIMでmicroSDカードが使える」点だ。Moto Zシリーズは2モデルとも、「DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)」に対応しており、SIMを同時に2枚挿して、一方を通話専用、もう一方をデータ専用、もしくはビジネス用とプライベート用といった具合に使い分けができる。

こうしたデュアルSIM端末の大多数は、SIMスロットとmicroSDカードスロットが排他利用になっており、2枚目のSIMを挿すとmicroSDカードが利用できなくなる。Moto Zも同じ仕組みだが、これはボディの厚みがネックとなっていた。

それに対してMoto Z Playは、SIMトレイの片面に2つのSIMを装着し、反対面にmicroSDカードが装着できるようになっており、デュアルSIMとmicroSDが共存できるようになっている。万人が必要な機能ではないが、対応していれば便利という人も多いはずで、Moto Zにはない一つの大きなメリットだろう。

Moto Z Playは、全体として独自機能は少ないが、シンプルなUIと最新OSが利用できる点は好感触。今や必需品となった指紋センサーは前面に搭載されており、認識スピードも速く、全体的に完成度が高い。デザインも独自性があって、ちょっとハイスペックで独自のスマートフォンが欲しいという人に向いていそうだ。

(小山安博)