【意外と知らない】ディーゼル車の黒煙の正体とは?

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炭素(カーボン)成分が結晶化したもの

ディーゼルエンジンのクリーン化が進み、都市の空気はかなりキレイになりました。そういう意味ではディーゼルエンジンの吐き出したススを瓶に入れ振ってみせた石原慎太郎東京都知事(当時)は、ディーゼルエンジン再興の立役者といっていいでしょう。それまで野放しにされていたディーゼルエンジンの排気ガスに、対策の必要性を訴えたわけです。

ディーゼルエンジンが出す黒煙は、いわゆるPM(粒状化物質)で、燃焼の時に生成された煤です。シリンダーのなかに噴射された燃料の一部が、燃焼する前に蒸発してしまうと炭素成分が残り、それが結晶化したのがPMなのです。炭素はいわゆるカーボンですから真っ黒(カーボンブラックといいます)なので、それがそのまま排気ガスの中に混じるので、黒煙として見ることになるわけです。

その対策としては燃料を確実に燃焼させることです。その方法は、燃焼室の温度を制御したり、噴射する燃料のサイズを微細化したり、そしてDPFを装備したり、ということになります。温度制御には複数回の燃料噴射、微細化には高圧の燃料噴射が必要になり、いずれも最新の高圧直噴システムが有効です。またDPFは、その煤を排気ガスの中から濾過するフィルターで、かなり有効な装置です。

そういう意味では最新のディーゼルエンジンから黒煙が出るのは、故障している時になります。しかし真っ黒ではなく、グレーっぽい煙を出すディーゼルがありますね。アクセルの踏み込み量とは無関係に、モクモクと吐き出す煙です。あれはDPFの再生をしている時に出る排気ガスです。DPFに溜まった煤に、燃料を与えて燃焼させることで、DPFをクリーンにしているのです。

このPMの問題は、これまではディーゼルエンジンだけの問題でしたが、最近では直噴ガソリンエンジンにも適用されるようになってきました。直噴ガソリンエンジンでも、ディーゼルと同じようにPMが大量に発生していることが判ったのです。それでDPFと同じようなフィルター、GPFを装備する必要性が高まっています。

(文:岡村神弥)