真剣佑「何度失敗しても、何百回と悔しい思いをしても、決してあきらめない」――映画『少女』インタビュー
映画のプロモーションで広島を訪れるにあたり、広島カープ優勝を祝福するため、前髪を赤く染めたことが話題を呼んだ。わずか1日の訪問のためにそこまでしてしまう。茶目っ気と、そして何より根っこにあるのは元来の真面目さと素直さ。この取材が行われたのはドラマ『仰げば尊し』(TBS系)の撮影中で、金髪の風貌だったが「つい言葉遣いや態度が不良っぽくなっちゃう(笑)」のだとか。目の前の仕事に文字通り、身も心も捧げる。真剣佑という名前そのまま、常に何事にも真剣なのだ。そんな彼がいつも通り全力で取り組み、それでも「いまだに答えが見えない」と語るのが、映画『少女』である。

撮影/平岩 享 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.



演じている最中のことは「記憶にない」!?



――『少女』は湊かなえさんの100万部突破の同名小説を原作にした作品です。17歳の桜井由紀(本田 翼)と草野敦子(山本美月)を軸に、少女たちの生、内に秘めた闇を描いたドラマであり、ミステリーの要素もある作品ですね。



最初に脚本をいただいて読んだときは、難しいなって思いましたね。単純に見えて、実はいろんな要素が複雑に入り組んでいて、奥が深いなと。

――真剣佑さんが演じた牧瀬 光は、由紀の交際相手の男子高生。人間の生死をどこか醒めた目で見ているようなところもある謎めいた存在で、時に由紀を挑発、刺激し、背中を押したりもします。



物語の中で、ちょっとしたキーになる存在ですよね。言葉は悪いですが、いわゆる“サイコ(精神異常者)”に近い。周りにこんな男がいたら絶対に…友達になりたいです!(笑)

――意外な反応です(笑)。三島有紀子監督からはどのような指示が?

「サイコだけど、牧瀬を楽しんで」と(笑)。他人の死の瞬間を見て、笑ってたりするんですけど「楽しめないと笑えないから、心の底から楽しんでね」と言われました。

――実際、楽しめましたか? もしくは牧瀬に対し、理解や共感できる部分はありましたか?

やっぱり、演じる上ではその人物をわかっていないとできないと思うので、そのときは理解していたんだと思います。ただ、この作品に限らないんですけど、僕、演じてるときの記憶がまったくないんですよ。きっと、牧瀬を楽しんでいたとも思うんですけど…。

――それだけ役に入り込んでいるということなんでしょうか?

「入り込む」って感覚もよくわかんないというか、そう言うと、いかにも「役者です!」って言いきってる感じがしますけど(苦笑)。




――実際、役者ですよ!(笑)

もちろん、そうなんですけど…、まだ何もわかってないので、偉そうに「役に入り込んで…」なんて言える立場じゃないです。毎回「どういう感情で演じてたんですか?」と聞かれるけど、正直、覚えてないんですよね。

――覚えていることは…。

とにかく、今回の役は難しかったということ。つかみどころがなかったですし、いまだに何が正しかったのか…答えが出ないです。完成した映画を見ても「こいつ、どういう男なんだ?」って自分が演じてたくせに考えちゃう(笑)。

――「楽しんで」という言葉以外で、三島監督の現場、演出はいかがでしたか?

最初は怖い人なのかな? と思ってたんですよ、なぜか(笑)。でも、いざ始まってみるとすごく優しい監督で、何よりも自由! ガチガチに何かを決めるのではなく、こちらで考えながら自由にやらせてもらいました。それが難しさの原因でもあったんですけどね(苦笑)。指示やヒントがないと、牧瀬はあまりにも難しかったので…。

――完成した映画でご自身の姿を見ていかがでしたか?

反省しかないです。見れば見るほどいろんなことを考えちゃうけど…でも、やっぱりその場ではできないんですよね。現場で表現して、自分で「こんな感じになってるかな?」とイメージしているものと、スクリーンに映ってる自分の姿に毎回、すごいギャップを感じます。精進していくしかないな…と反省の毎日です。




――ご自分に対して厳しいですね。

まだまだ足りてないんでね。牧瀬という役は、もうちょっと場数を踏んで、キャリアを積み重ねてからのほうが面白いものを見せられたんじゃないかなと思う部分もあります。

――三島監督が求めていたのは経験値や技巧よりも、いまの真剣佑さんだからこそ出せる生々しさだったのかもしれません。

そうなんですよね。技術は足りなくとも、いまだからこそ出せるものがあるのかも。そういう意味で、あのときの「真剣佑=牧瀬」で良かったのかもしれません。



水球にレスリング、部活に打ち込んだ学生時代



――映画では登場人物たちの、10代特有の感情――周囲の大人や世間への反抗心、自分が大人に近づいていくことへの不安や反発が描かれますが、真剣佑さんも10代半ばの頃は、そうした感情を抱えてましたか?

僕は向上心しかなかったですね。部活に熱中していて、とにかく「うまくなりたい!」「チームを優勝させたい」といった気持ちをいつも持ってました。反抗心とか反発、ネガティブな気持ちよりは、より上を目指して挑戦する思いが強かったですね。

――学生生活を送ったのはアメリカですよね? 部活は何を?

レスリングと水球です。同時にやっていたわけではなく、あっちの学校はセメスター制なので、学期でやる競技が分かれるんです。学校生活の中心に部活があったというくらい、かなり真剣に打ち込んでました。



――それだけ打ち込んだ部活を通じて得た、一番大きなものは何だと思いますか?

言葉にするのは難しいですね。競技の場に立って、いろんな経験をしたこと。それは確実にいまの僕を形作っていると思いますし、それをこれから俳優としても活かせたらと思っています。

――青春時代の葛藤やコンプレックスなどはまったくなかったんですか?

対戦相手のことしか考えてなかったですね、スポーツマンだったんで。コンプレックス…うーん、コンプレックスとはちょっと違いますが、レスリングって身長が低いほうが有利なんですよ。背が高いと入り込まれやすいので。当時は勝つことしか考えてなくて「もっと低かったらなぁ」とか「もっとゴリゴリのマッチョだったら」って思ってましたね。

――むしろ背が高くて手足が長いのがうらやましいです!(笑)

当時は減量もしてたんですよ。体重別の競技なので。でもいま思うと、成長期に減量なんてしないほうがよかったなぁって…。でも、そのときは、それ以外のことはどうでもいいってくらい、ものすごく真剣に打ち込んでいたので。




――レスリングと水球を選んだのはなぜなんですか?

珍しいスポーツをやってみたかったんですよね。

――アメリカでもレスリングをやる人は少し珍しい?

多くはないですね。やっぱり王道はバスケ、アメフト、野球、テニスですね。それが嫌だったので。特にレスリングは個人でできる競技だということもありました。

――水球も、バスケやアメフトに比べたら珍しいですか?

そうですね。実際、僕自身もよく知らずに、こういうスポーツがあるのか! と興味を持って始めたので。最初は子どもの頃からやっていた極真空手のためだったんですよ。足腰を鍛えたり、肩幅を大きくしたりするのにいいんじゃないかと。だんだん、そっちのほうが楽しくなってきて…。



――お話を伺ってると、自分の芯を持っていて、やりたいこと、やるべきことを自分で選択し、努力する意志の強さがうかがえます。そうした精神的な部分での強さは子どもの頃から?

小さい頃からこういう性格ですね。とにかく頑固だし、やれるようになるまで努力する。やれるようにならないと眠れない(笑)。やっぱり、楽をして何かを得ることってできないんですよ。努力すればできるって信じてるし、そこに至るまでの過程が好きなんです。



15歳で俳優を志す「夢を与えられる人になりたい」



――学生時代はスポーツに打ち込んできて、俳優の世界に飛び込んでみようと思ったのはなぜですか?

15歳くらいで、ある映画を見て、夢をもらったんですね。それと同じように、自分も作品を通じて誰かに夢を与えられるようになりたいと思って俳優を志しました。

――ちなみにその作品、出演者は…?

それはまだ秘密です。誰にも言ったことないので。いつか、その俳優さんと共演できる日が来たら、言いたいと思います。

――スポーツは成績や結果が数字や勝敗ではっきりと表れますが、俳優の仕事はそうはいきませんね。

そうなんです。本当に奥深いですね。全然、この世界のことを知らずに飛び込んだので、学ぶべきことがたくさんあるし、自分にできること、苦手なことを少しずつ理解している状態です。これからたくさん勉強したいし、もっと自分のことも、芝居のことも知りたいです。毎回、作品ごとにこれまで知らなかった自分を発見してます。




――映画『ちはやふる』で綿谷 新(わたや・あらた)を演じた際は、百人一首をすべて覚えたそうですね。当時は、黒髪に着物姿で、落ち着いた印象を受けましたが、いま、『仰げば尊し』の木藤良 蓮(きとら・れん)役のために金髪にされていると、見た目だけでなく雰囲気まで変わったような…。

役柄に合わせて見た目を変えると、まったく別の人間になっちゃうんですよね(笑)。すごく影響されやすいんです。いまは、新とは正反対の感じです。

――アメリカで生まれ育って、日本で仕事をするようになって、それぞれの国の違いは感じますか?

仕事に関して言えば、日本でしかできないことって確実にあります。この年齢で映画にすぐに出してもらえるって、アメリカではなかなかないことですから。

――役柄で言うと、いまの時期は学生役や恋愛作品への出演が多いかと思います。

せっかくなので、この年齢でしかできないことを楽しんでやっていきたいですね。学生の恋愛ものも、いつまでもできるわけではないですし。



――俳優として目指すのは?

芯にあるのは、最初にこの仕事を志したときに思った、見る人に夢を与えるということ。その中でも、2時間の映画の中で、観る人が「あぁ、こういう人、いるよね」と思えるように、役柄に命を吹き込みたい。そのためにやれることならなんだってやりたいです。

――もうすぐ二十歳を迎えますね。20代の目標はありますか?

大きな役者になりたいです。それが具体的にどういうものなのか、まだ自分には見えないですが。

――これまでのところ、俳優としての道のりは順調ですか?

どうでしょう?(笑) 自分ではなかなか見えないし、答えがあるわけではないので…。でも、いまあるものが自分だと受け入れてます。目の前の仕事に全力なのはもちろんですが、その連続で長く、俳優であり続けられたらと思います。



――基準、軸として持っているのは、一時的な熱狂やブレイクではなく…。

俳優の仕事は、オファーをいただかないと続けられないですからね。何十年と続けられるように、精進していきたいです。

――最後に座右の銘を教えていただけますか?

「百折不撓(ひゃくせつふとう)」です。何度失敗しても、何百回と悔しい思いをしても、決してあきらめない心を持ち続けたいです。



【プロフィール】
真剣佑(まっけんゆう)/ 1996年11月16日生まれ。アメリカ・ロサンゼルス出身。B型。幼少期より極真空手を学び、ロサンゼルスの大会で優勝するほどの実力を誇る。2014年から日本で俳優としての活動をスタート。映画『劇場版 仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー』、『ちはやふる』、ドラマでは『夢を与える』(WOWOW)、『サクラ咲く』(NOTTV)、『明日もきっと君に恋をする』(フジテレビ系)、舞台『花より男子』など話題作に次々と出演。今年の7月クールでは『仰げば尊し』(TBS系)にメインキャストとして出演。本作『少女』に加え、映画『にがくてあまい』も公開中。『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』『ピーチガール』の公開も来年に控える。
【Twitter】@Mackenyu1116


■映画『少女』
10月8日(土)全国ロードショー!
http://www.shoujo.jp/

配給:東映
(C)2016「少女」製作委員会

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■受付期間:2016年9月27日(火)12:00〜10月3日(月)12:00

■当選者確定フロー
・当選者発表日/10月4日(火)
・当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し)のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
・当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから10月4日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただきます。10月7日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。

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