今から四半世紀前の1987年、講談社ノベルスから綾辻行人のデビュー作『十角館の殺人』が刊行された。異能の建築家・中村青司が妻子を殺害して失踪、全国各地に彼が設計した奇妙な館が遺される。中村青司に興味を持つ主人公たちが彼の館を訪ねるたびに、凄惨な殺人劇の幕が切って落とされるのだ。この連作に魅了されたファンは畏敬の念をこめて〈館シリーズ〉の名を奉った。今では当たり前に使われるようになった「館ミステリー」の