『峠しぐれ』(葉室 麟) 『大菩薩峠』を書いた中里介山は随筆「『峠』という字」の中で、「峠」は日本で作られた漢字「国字」であり、本来の漢字なら「嶺」だが、これは「山の最頂上では無く、領(えり)とか肩とかいう部分」のことで、「西洋語のパスとかサミット」も意味合いが違うだけに、「峠」には「含蓄と情味がある」と書いている。その上で、「上る人も、下る人も」立たなければならない「峠」を、「人生そのものの表徴」