台湾・新北市内で4日午前10時50分ごろ、トランスアジア航空(復興航空)の「ATR72型」機が墜落した。(写真は「CNSPHOTO」提供、4日墜落したトランスアジア航空機での救助活動の様子)

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 台湾・新北市内で4日午前10時50分ごろ、トランスアジア航空(復興航空)の「ATR72型」機が墜落した。台湾では最近になり、死亡を伴う航空機事故が減少していたが、トランスアジア航空は2014年に49人が死亡する着陸失敗・墜落事故に続き、2年連続で死亡事故を出した。

 以下は、2000年以降、台湾で発生した主な航空機事故。2007年に中華航空機(チャイナエアライン)が那覇空港でエンジンから出火し爆発炎上する事故を起こしているが、台湾における事故でないので下記一覧には含めていない(同事故は乗客・乗務員全員が脱出に成功し、死者は出なかった)。

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●2000年10月31日・・・滑走路を間違え、作業車両と衝突・炎上

台北市郊外の桃園国際空港でシンガポール航空006便・ボーイング747型機が離陸時に滑走路を間違えて作業車両と衝突。炎上大破し、乗客159人、乗員20人のうち、日本人1人を含む83人が死亡し、80人が空軽傷を負った。当時は台風の接近で、強い風と雨だった。

●2002年5月25日・・・修理不十分で空中分解・墜落

 桃園国際空港から香港国際空港に向かっていた中華航空(チャイナエアライン)611便・ボーイング747型機が台湾海峡上空の澎湖諸島の北東約18キロメートルの海上で空中分解して墜落。乗客206人、乗員16人の計210人全員が死亡した。過去に着陸の際に尻もち事故を起こした機体の修理が不十分だったため、金属疲労で破壊されたと分かった。

●2002年12月21日・・・主翼に結氷し貨物機墜落

 桃園国際空港からマカオ国際空港に向かっていたトランスアジア航空(復興航空)貨物便のGE791便・ATR72型機が台湾海峡の澎湖島近くの海に墜落。乗組員2人が死亡した。主翼などに着氷し、揚力を失ったと分かった。

●2003年3月21日・・・着陸時に滑走路上の作業車に衝突

 台南空港に着陸した復興航空GE543便・エアバス321型機が、滑走路上にいた作業車と衝突。乗客169人・乗務員6人にけがはなかったが、作業車を運転していた作業員が負傷して病院に搬送された。

●2012年8月30日・・・空中撮影目的の小型機が墜落

 台北市の松山空港を離陸し、台湾東部の花蓮県から台東県を縦断する花東縦谷を空中から撮影して台東の豊年空港に着陸する予定だった大鵬航空の小型機が、花蓮県内に墜落。正副操縦士とカメラマンが死亡した。天候は良好で、同機がフライトレコーダーなどを積み込んでいない小型機であったこともあり、原因は不明とされた。

●2013年10月16日・・・台湾最高峰の玉山近くでヘリ墜落

 中興航空のヘリコプター、川崎重工業BK-117型機が、台湾中部の南投県内で墜落した。台湾で最も高い玉山にある気象観測所に交代要員の職員を輸送する途中だった。正副操縦士と気象観測職員1人の職員が死亡した。

●2014年4月25日・・・陸軍の攻撃ヘリが民家に墜落

 陸軍が保有する米国製の攻撃ヘリコプターAH-64E(アパッチ・ガーディアン)が台湾北西部の桃園県で民家に墜落した。搭乗員2人は負傷して病院に搬送された。地上にいた人の負傷は伝えられていない。

●2014年7月23日・・・悪天候時に着陸失敗・墜落炎上

 高雄国際空港を離陸し澎湖島馬公空港に向かったトランスアジア航空(復興航空)GE222便・ATR72型機が天候不良により着陸復行を行おうとしたが失敗して墜落した。台湾の民用航空局は重量過多により、着陸復行時にパワー不足となり失速したとの見方を示した。同事故で乗客52人、乗員4人の計58人のうち、49人が死亡した。事故に民家2棟が巻き込まれ少なくとも5人が負傷した。

 現場には台風が接近し、天気は荒れていた。ATR72型機の着陸は可能な気象条件だったとされるが、実際には風が強く困難な状態だったとする見方も出た。(編集担当:如月隼人)(写真は「CNSPHOTO」提供、4日墜落したトランスアジア航空機での救助活動の様子)