「行動力」を養う1分間トレーニング
自分で決めたことを実行する「行動力」は、人生において、もちろん仕事でも大きな武器になります。しかし、人間は弱い生き物。うまくいく自信がなかったり、忙しかったりといった理由で、ついつい行動せずに諦めてしまいます。そして「俺ってなんて意思が弱いんだろう」と自己嫌悪に陥ってしまうわけですが、実は「行動力」とは「意思の強さ」ではありません。 毎日のちょっとしたトレーニングで「行動力」は養うことができるのです。
では、一体どんなトレーニングをすればいいのか。『本気で変わりたい人の 行動イノベーション―本当の欲望に素直になれば、やる気が目覚める―』(秀和システム/刊)の著者、大平信孝さんにお話をうかがいました。今回は後編です。
―ここ1、2年ほど、「アドラー心理学」をベースとする書籍が多く出版され、一種の流行のようになっています。大平さんが考えるアドラー心理学の最大の特徴とはどのようなものですか?
大平:アドラー心理学は「ライフスキルの塊」だと思うんです。だから、「心理学」というよりは「技術」と言った方がいいでしょう。実生活に応用しやすいスキルが多く入っていることに加えて、説明が論理的で納得しやすいというのがアドラー心理学の特徴ではないでしょうか。
―本書では自分の本当の欲望に気づくための「50秒セルフトーク」「10秒アクション」の方法が解説されています。まず「50秒セルフトーク」について、なかなか心の底から「やりたいこと」が出てこない時の対処法を教えていただければと思います。
大平:いきなり大きな結果を求めないことですね。もし、自分の欲望が出てこなくても焦らず、一回でも気づきはあります。「明日もう一回やってみよう」という気持ちで大丈夫です。
「50秒セルフトーク」「10秒アクション」は、1日2分で終わるセッションなので、とりあえずこれを3週間、気楽にゲーム感覚で続けてみていただきたいです。
―次に「10秒アクション」についてですが、このポイントはどんなところにありますか?
大平:「10秒」って短いようでいて、案外いろんなことができるんですよ。たとえば明日は起きたら読書をしようと思ったとして、10秒あれば読む本を本棚から出して机の上に置いておくことができます。それをやっておくことで翌朝起きた時に、自然に読書する気持ちが起きるわけで、もし本が机の上になかったら別のことを始めてしまうかもしれません。本を机に置いておくというワンアクションがあると、「自分で決めたことをちゃんと実行する」というところとつながるので、自己肯定感が上がって自信に直結するわけです。
地味なように思えるかもしれませんが、こういう小さな積み重ねが後々で急成長を生みます。自分に確かな変化をもたらすものなので、やってみていただきたいなと思います。
―本書の中の「行動しない理由」が興味深かったです。「あきらめる」「依存する」「手を広げすぎる」など、行動力がない理由はたくさんあるんだなと。
大平:全部昔の自分のことなんですけどね(笑)。すぐに言い訳をしていましたし、すぐ諦めていましたし、人のせいにしていましたし。でも、これも結局自分の本心というか、欲望がわかっていなかったからなんですよね。本当にやりたいことが自分でわかっていたら、行動をおこすのを妨げる壁はないわけですから。
―心からワクワクするような「やりたいこと」がある反面、「やりたくないけどやらなければならないこと」もあります。大平さんは「欲望」と「やらなければいけないこと」のバランスをどのようにとっていますか?
大平:たとえば「ディズニーランドが好きで、毎日行きたいから仕事をしたくない」など、欲望に忠実に生きた結果、現実生活が破綻するのは、確かに考えられることかもしれません。
ただ、僕は本当に欲望を突き詰めたら、最終的には現実生活と欲望は両立するものだと思っています。同じように「オリンピックで金メダルを取る」ことが目標でも、「金メダルを取ってどうしたいのか?」とさらに深く掘り下げたら「有名になりたい」「親孝行したい」など、人によって様々な欲望があるはずです。
ディズニーランドにしても、「毎日行ってどうしたいのか」と掘り下げると、「人の笑顔がみたい」「楽しい思いをしたい」など、一段階深い欲望が見つかるはずです。それだったら、仕事を通じて実現できるでしょうということですね。
「50秒セルフトーク」で自分の欲望を探る時に気をつけていただきたいのは、最初のアンサーで終わるのではなく、二段階、三段階と、より自分の欲望を掘り下げていくことです。
―最後になりますが、「なかなか行動できない人」に向けてアドバイスやメッセージをお願いできればと思います。
大平:自分の欲望に気づいて、それと仲良く対話できる人ほど、結果的にその欲望をすいすい行動に移すことができます。だから、まずはそれにトライしていただきたいですね。
行動ができない人というのは、欲望に気づかないばかりに行動のスイッチが入らず、結局行動できずに自分を責めてしまいます。自分を責めてしまうと余計に自分の欲望がわからず、行動もできないという悪循環にはまってしまう。
この悪循環に陥らないためにも「頭の声」「心の声」「体の声」を素直に聞いて、その声に寄り添ってあげることです。こうすることで、行動できる人になることができるばかりか、セルフマネジメントも上達するので、ぜひやってみていただきたいですね。
(新刊JP編集部)
では、一体どんなトレーニングをすればいいのか。『本気で変わりたい人の 行動イノベーション―本当の欲望に素直になれば、やる気が目覚める―』(秀和システム/刊)の著者、大平信孝さんにお話をうかがいました。今回は後編です。
大平:アドラー心理学は「ライフスキルの塊」だと思うんです。だから、「心理学」というよりは「技術」と言った方がいいでしょう。実生活に応用しやすいスキルが多く入っていることに加えて、説明が論理的で納得しやすいというのがアドラー心理学の特徴ではないでしょうか。
―本書では自分の本当の欲望に気づくための「50秒セルフトーク」「10秒アクション」の方法が解説されています。まず「50秒セルフトーク」について、なかなか心の底から「やりたいこと」が出てこない時の対処法を教えていただければと思います。
大平:いきなり大きな結果を求めないことですね。もし、自分の欲望が出てこなくても焦らず、一回でも気づきはあります。「明日もう一回やってみよう」という気持ちで大丈夫です。
「50秒セルフトーク」「10秒アクション」は、1日2分で終わるセッションなので、とりあえずこれを3週間、気楽にゲーム感覚で続けてみていただきたいです。
―次に「10秒アクション」についてですが、このポイントはどんなところにありますか?
大平:「10秒」って短いようでいて、案外いろんなことができるんですよ。たとえば明日は起きたら読書をしようと思ったとして、10秒あれば読む本を本棚から出して机の上に置いておくことができます。それをやっておくことで翌朝起きた時に、自然に読書する気持ちが起きるわけで、もし本が机の上になかったら別のことを始めてしまうかもしれません。本を机に置いておくというワンアクションがあると、「自分で決めたことをちゃんと実行する」というところとつながるので、自己肯定感が上がって自信に直結するわけです。
地味なように思えるかもしれませんが、こういう小さな積み重ねが後々で急成長を生みます。自分に確かな変化をもたらすものなので、やってみていただきたいなと思います。
―本書の中の「行動しない理由」が興味深かったです。「あきらめる」「依存する」「手を広げすぎる」など、行動力がない理由はたくさんあるんだなと。
大平:全部昔の自分のことなんですけどね(笑)。すぐに言い訳をしていましたし、すぐ諦めていましたし、人のせいにしていましたし。でも、これも結局自分の本心というか、欲望がわかっていなかったからなんですよね。本当にやりたいことが自分でわかっていたら、行動をおこすのを妨げる壁はないわけですから。
―心からワクワクするような「やりたいこと」がある反面、「やりたくないけどやらなければならないこと」もあります。大平さんは「欲望」と「やらなければいけないこと」のバランスをどのようにとっていますか?
大平:たとえば「ディズニーランドが好きで、毎日行きたいから仕事をしたくない」など、欲望に忠実に生きた結果、現実生活が破綻するのは、確かに考えられることかもしれません。
ただ、僕は本当に欲望を突き詰めたら、最終的には現実生活と欲望は両立するものだと思っています。同じように「オリンピックで金メダルを取る」ことが目標でも、「金メダルを取ってどうしたいのか?」とさらに深く掘り下げたら「有名になりたい」「親孝行したい」など、人によって様々な欲望があるはずです。
ディズニーランドにしても、「毎日行ってどうしたいのか」と掘り下げると、「人の笑顔がみたい」「楽しい思いをしたい」など、一段階深い欲望が見つかるはずです。それだったら、仕事を通じて実現できるでしょうということですね。
「50秒セルフトーク」で自分の欲望を探る時に気をつけていただきたいのは、最初のアンサーで終わるのではなく、二段階、三段階と、より自分の欲望を掘り下げていくことです。
―最後になりますが、「なかなか行動できない人」に向けてアドバイスやメッセージをお願いできればと思います。
大平:自分の欲望に気づいて、それと仲良く対話できる人ほど、結果的にその欲望をすいすい行動に移すことができます。だから、まずはそれにトライしていただきたいですね。
行動ができない人というのは、欲望に気づかないばかりに行動のスイッチが入らず、結局行動できずに自分を責めてしまいます。自分を責めてしまうと余計に自分の欲望がわからず、行動もできないという悪循環にはまってしまう。
この悪循環に陥らないためにも「頭の声」「心の声」「体の声」を素直に聞いて、その声に寄り添ってあげることです。こうすることで、行動できる人になることができるばかりか、セルフマネジメントも上達するので、ぜひやってみていただきたいですね。
(新刊JP編集部)