親子の確執 縁を切るべきタイミング
いつでも子どものことを考えて、愛情を注ぐのが親というもの。しかし、中には暴力や虐待、過剰な干渉などによって、子どもを自分の支配下に置こうとする、ひどい親もいます。
『毒親からの完全解放―本当の自分を取り戻して幸せになる7つのステップ』(アチーブメント出版/刊)の著者、影宮竜也(かげみや・たつや)さんも、こんな「子どもを支配しようとする親(毒親)」に育てられた一人。
現在は毒親カウンセラーとして、毒親のもとで育った人(毒親育ち)たちの自立のサポートをしている影宮さんですが、一体どのように「毒親」の問題を解決したのでしょうか。「毒親」の特徴や行動の傾向とあわせてお話をうかがいました。その後編をお届けします。
―本書には、「毒親」との問題を解決するために、「親と決別する」という方法も取り上げられています。この方法は、子どもにとっても大きな痛みが伴うので、なかなかふんぎりがつかない人もいると思いますが、影宮さんは「決別するかどうか」という最後のラインをどのように見定めましたか?
影宮:私の場合は「もうこれ以上我慢ができない」という一点でしたね。勤めていた会社に乗り込んできて入口で押し問答になったり、電話を何度もかけてきたりといった状態でしたから、自分の身を守るという意味でも絶縁しました。
―決別するにあたって躊躇されることはなかったのでしょうか。
影宮:躊躇というよりも、罪悪感ですね。自分が親に対してやったことへの。
「毒親」に虐げられて育った子どもは、常に「正しいのは親で、あなたはまちがっている。あなたが悪い」と言われて続けてきていますから、どんな問題が起きても「自分が悪いからこんな問題が起きたんじゃないか」と思う癖がついているんです。これが一番苦しいところですね。
―親と決別する時、障害となりうるものはありますか?
影宮:「決別しよう」と決めてしまったらもう障害はないんですよ。ただ「本当に親と縁を切っていいんだろうか」と迷っていると、なかなか一歩が踏み出せませんよね。
私はこの本の中で、自分の状況について客観的に見るための「解毒ワーク」を紹介しているのですが、迷っているという方はやってみて欲しいと思います。自分が親にされてきたことや、それに対する怒りや憎しみをきちんと捉えることができれば、決別するエネルギーが湧いてくることもあるでしょうし、エネルギーが湧いてこないならやめておけばいい。とにかく、これまで抑え込んで隠してきた本心を吐き出して把握することが大事なんです。
―決別するのではなく「距離を取る」という解決法もあるのではないかと思うのですが、この際ポイントになることはありますか?
影宮:基本的には、距離を置いても問題の解決にはならないと思っています。
よく、「毒親」から逃れるために結婚するという人がいるんですよ。結婚すれば親と関わらなくて済むんじゃないかということで。
でも、多くの場合夫婦関係に亀裂が入ってしまいますね。なぜかというと、距離を置くだけだと親との接触はあるわけですから、親子の確執が結婚した家庭に持ち込まれてしまうんです。
自分の親との問題を配偶者に相談しても、配偶者からしたら他人の家の問題ですから「親子なんだから仲良くしなよ」と言いますよね。そうすると「夫(妻)なのに全然気持ちをわかってくれない」と配偶者に対して不満を持ってしまうわけです。
それと、配偶者によっては何とか親子を和解させて、問題を解決しようとする人もいますが、これはやってはいけないことです。親との問題で苦しんでいる本人というのは、自分が親にされたことを消化できないからこそ苦しんでいるわけで、そんな状態で和解なんてできるわけがないですから。
―もし親戚や知人に「毒親」に見える人がいたり、「毒親」に育てられている子がいたりしたとき、第三者としてできることがありましたら教えていただきたいです。
影宮:結局のところ、聞くことしかできないと思います。否定せずに相手の話を聞いて、「大変だったね」と言ってあげればいいんですよ。具体的に何か手伝ってほしいと言われたら絶対に断るべきです。他人の家庭のことを本当の意味では理解できないでしょうし、巻き込まれる可能性もあります。たとえば「毒親」が「あの人と付き合ったからこんなことになった」と言いだすかもしれないわけです。相談に乗ったつもりなのにとばっちりを受けてしまう。
―最後になりますが、親との関係に悩んでいる方々にメッセージをお願いいたします。
影宮:「毒親」に育てられた子どもは、将来自分も「毒親」になる可能性が高いというのはわかっておいていただきたいと思います。今は「被害者」の場所にいても、いずれ自分が親になったら、同じようなことを子どもにしてしまうかもしれません。自分の親の歪みを子どもに引き継がないように、というのは本当に伝えたいことでもあります。子どもを辛い目に遭わせないためにも「負の連鎖」は自分のところで断ち切りましょう。
また、「毒親」に育てられた方で、今すでにお子さんがいらっしゃるという方には、親のことや愛情を与えられなかった心の中にあるわだかまりを「できるだけ早い段階で過去のこと」にしていただきたいです。そのためには、親から本当の意味での自立が必要になります。それができれば、親から愛情を与えられずに育った人も、愛情を与える親になることができますから。
(新刊JP編集部)
『毒親からの完全解放―本当の自分を取り戻して幸せになる7つのステップ』(アチーブメント出版/刊)の著者、影宮竜也(かげみや・たつや)さんも、こんな「子どもを支配しようとする親(毒親)」に育てられた一人。
現在は毒親カウンセラーとして、毒親のもとで育った人(毒親育ち)たちの自立のサポートをしている影宮さんですが、一体どのように「毒親」の問題を解決したのでしょうか。「毒親」の特徴や行動の傾向とあわせてお話をうかがいました。その後編をお届けします。
影宮:私の場合は「もうこれ以上我慢ができない」という一点でしたね。勤めていた会社に乗り込んできて入口で押し問答になったり、電話を何度もかけてきたりといった状態でしたから、自分の身を守るという意味でも絶縁しました。
―決別するにあたって躊躇されることはなかったのでしょうか。
影宮:躊躇というよりも、罪悪感ですね。自分が親に対してやったことへの。
「毒親」に虐げられて育った子どもは、常に「正しいのは親で、あなたはまちがっている。あなたが悪い」と言われて続けてきていますから、どんな問題が起きても「自分が悪いからこんな問題が起きたんじゃないか」と思う癖がついているんです。これが一番苦しいところですね。
―親と決別する時、障害となりうるものはありますか?
影宮:「決別しよう」と決めてしまったらもう障害はないんですよ。ただ「本当に親と縁を切っていいんだろうか」と迷っていると、なかなか一歩が踏み出せませんよね。
私はこの本の中で、自分の状況について客観的に見るための「解毒ワーク」を紹介しているのですが、迷っているという方はやってみて欲しいと思います。自分が親にされてきたことや、それに対する怒りや憎しみをきちんと捉えることができれば、決別するエネルギーが湧いてくることもあるでしょうし、エネルギーが湧いてこないならやめておけばいい。とにかく、これまで抑え込んで隠してきた本心を吐き出して把握することが大事なんです。
―決別するのではなく「距離を取る」という解決法もあるのではないかと思うのですが、この際ポイントになることはありますか?
影宮:基本的には、距離を置いても問題の解決にはならないと思っています。
よく、「毒親」から逃れるために結婚するという人がいるんですよ。結婚すれば親と関わらなくて済むんじゃないかということで。
でも、多くの場合夫婦関係に亀裂が入ってしまいますね。なぜかというと、距離を置くだけだと親との接触はあるわけですから、親子の確執が結婚した家庭に持ち込まれてしまうんです。
自分の親との問題を配偶者に相談しても、配偶者からしたら他人の家の問題ですから「親子なんだから仲良くしなよ」と言いますよね。そうすると「夫(妻)なのに全然気持ちをわかってくれない」と配偶者に対して不満を持ってしまうわけです。
それと、配偶者によっては何とか親子を和解させて、問題を解決しようとする人もいますが、これはやってはいけないことです。親との問題で苦しんでいる本人というのは、自分が親にされたことを消化できないからこそ苦しんでいるわけで、そんな状態で和解なんてできるわけがないですから。
―もし親戚や知人に「毒親」に見える人がいたり、「毒親」に育てられている子がいたりしたとき、第三者としてできることがありましたら教えていただきたいです。
影宮:結局のところ、聞くことしかできないと思います。否定せずに相手の話を聞いて、「大変だったね」と言ってあげればいいんですよ。具体的に何か手伝ってほしいと言われたら絶対に断るべきです。他人の家庭のことを本当の意味では理解できないでしょうし、巻き込まれる可能性もあります。たとえば「毒親」が「あの人と付き合ったからこんなことになった」と言いだすかもしれないわけです。相談に乗ったつもりなのにとばっちりを受けてしまう。
―最後になりますが、親との関係に悩んでいる方々にメッセージをお願いいたします。
影宮:「毒親」に育てられた子どもは、将来自分も「毒親」になる可能性が高いというのはわかっておいていただきたいと思います。今は「被害者」の場所にいても、いずれ自分が親になったら、同じようなことを子どもにしてしまうかもしれません。自分の親の歪みを子どもに引き継がないように、というのは本当に伝えたいことでもあります。子どもを辛い目に遭わせないためにも「負の連鎖」は自分のところで断ち切りましょう。
また、「毒親」に育てられた方で、今すでにお子さんがいらっしゃるという方には、親のことや愛情を与えられなかった心の中にあるわだかまりを「できるだけ早い段階で過去のこと」にしていただきたいです。そのためには、親から本当の意味での自立が必要になります。それができれば、親から愛情を与えられずに育った人も、愛情を与える親になることができますから。
(新刊JP編集部)