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●Apple IDの登録前回iCloudの概要について紹介したが、今回からは個別の機能について解説していく。だがその前に、まずはiCloudへの登録方法と、設定について触れておこう。

iCloudを使うために

iCloudを利用するには「Apple ID」が必要だ。Apple IDはアップルのサービスを使う際に必要なアカウントで、メールアドレスとパスワードの組み合わせで登録する。すでにiTunes StoreやApp Storeで買い物(無料ダウンロードを含む)をしたことがある人であれば、その際に登録したメールアドレスがApple IDだ。

iCloudとiTunes Storeで別のApple IDを使うこともできるのだが、設定が複雑になるので、ここでは同じIDを使うことを前提に話を進めていく。

Apple IDとして登録するメールアドレスは、iCloud関連の通知にも使うので、よく利用するものを登録しておくといい。後述する「@icloud.com」のメールアドレスをApple IDに使うこともできる。もう登録したメールアドレスを使わなくなったという場合は後から変更も可能だが、ドメインが「@mac.com」「@me.com」「@icloud.com」の場合は変更できないので注意しよう。

Apple IDの登録画面は、iPhoneの初回起動時にも登場する。この画面を飛ばしてしまった場合でも、「設定」画面から登録できるので安心しよう。

iCloudの設定で注意すべきことその1iCloudの設定は、基本的にラジオスイッチのオン/オフのみと、簡単だ。すべてのサービスをオンにすればいいと言いたいところだが、一部のサービスは互換性や設定の煩雑さなどもあり、必ずしもすべてオンにすればいいわけではない。特に注意すべき設定を中心に見ていこう。

iCloud Drive

iCloud Driveは、iOS 8から新たに追加された機能で、Dropboxなどのオンラインストレージに似た機能だと思えばいい。便利だが、もし自宅でMacを使っており、Documents in the Cloud対応のアプリを使っている場合、iCloud Driveにアップグレードすると、これらのアプリからiCloud上のファイルにアクセスできなくなってしまう。Mac OS XでiCloud Driveに対応するのは、近日リリース予定の次期OS「Yosemite」からなので、MacをバージョンアップするまではiCloud Driveもアップグレードしないほうがいいだろう。

○写真

iCloud側に写真を保存して共有する機能だが、パソコン側で保存した写真もiOSに同期されるため、容量を圧迫する。容量が厳しい場合は「自分のフォトストリーム」をオフにしよう。ほかの人の共有アルバムにアクセスするだけなら「iCloud写真共有」だけオンにしておけばいい。「バーストの写真をアップロード」はiPhone 5s以上のバーストショット対応機種のみ表示されるが、容量を圧迫するのでオフのままでもいいだろう。

なお、ユーザーによっては「iCloud Photo Library(Beta)」の項目がある。これは写真やムービーをすべてアップロードするため、iCloudの容量を圧迫する。無料の5GBはメールや書類と共通なので、写真で埋まってしまうとメールが受けられなくなるおそれもある。まだベータ版ということもあるので、無理にオンにする必要はないだろう。

○メール

「@icloud.com」のメールを利用したい場合はオンにする。メールの設定はここではなく、「メール/連絡先/カレンダー」で行う。メールの設定については、次回詳しく説明する。

○「連絡先」「カレンダー」「リマインダー」「Safari」「メモ」「Passbook」

いずれもスイッチをオンにするだけで同期される。同期するデータの量もさほど多くなく、容量は圧迫されないので、よほどのことがない限りは常時オンにしておいてかまわない。

iCloudの設定で注意すべきことその2○書類とデータ

基本的にオンにしておくべきだが、iCloud Driveについては前述のとおり。YosemiteやWindows用iCloud Driveのアクセス用アプリが登場するまでは、iCloud Driveにアップグレードしないほうがいいだろう。

また、「モバイルデータ通信」がオンになっていると、3GやLTE経由で同期する。大きなファイルがある場合、月々のパケット通信量を圧迫するので、不安な人はオフにしてWi-Fi環境でのみ同期するようにしておこう。

○バックアップ

Wi-Fi環境でのみ、iPhoneのバックアップをiCloud上に作り出す。大変便利な機能なので基本はオンにするべきだが、長期間使っていると、iCloud側の容量をかなり圧迫する。iTunesで毎日バックアップしているなら、オフにしてもかまわない。

○キーチェーン

iCloudキーチェーンは、ウェブサイトのパスワードやクレジットカードの番号といったプライベートな情報を暗号化し、Mac OS XやiOS機器間で同期・共有する機能だ。重要な情報なので、複数の機器から利用する場合、新たに機器を追加する場合は認証が必要だ。iPhoneはアップルから認証用のセキュリティコードをSMSで受信するための窓口となるため、ほかの機器よりも重要度が高い。利用する際は慎重に、Touch IDやパスコードロックを併用するのを忘れないようにしよう。

iPhoneを探す

iPhoneの位置をリモートで監視できる、iCloudの目玉機能ともいえる機能。若干バッテリーの持ちに影響するが、保険料と思って常時オンにしておくべし。「最後の位置情報を送信」もオンにしておこう。

○位置情報を共有

この項目については稿を改めて紹介する。当面はオフのままでかまわない。

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次回はiCloudメールについて見ていく。

(海老原昭)