SIMロック解除義務化でトクするのは誰か、大手キャリアでも利用者でもない?

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●総務省がSIMロック解除の義務化を正式に決定

総務省は、携帯電話やスマートフォンの「SIMロック」解除を、2015年にも義務づける方針を正式に決定した。

現在は、各通信事業者(キャリア)が取り扱う携帯端末にはSIMロックが設定されている。そのため、例えばNTTドコモスマートフォンに、ソフトバンクのSIMカードを挿しても通信ができない。

さらには、同じキャリアでも、機種によりSIMロックされている場合がある。例えば、NTTドコモのAndroidスマートフォンのSIMカードをiPhoneに挿しても、通信回線を利用できないのだ。

では、SIMロックが解除されると、どのようなメリットがあるのだろうか。

SIMロック解除によるメリット
SIMロックが解除されれば、キャリアを乗り換えた(通信契約の変更)後でも、今使っているスマートフォンを新しいキャリアの通信プランで使い続けられる。使い慣れたお気に入りのスマートフォンをそのまま使える上に、本体の買い換え費用も発生しない。

料金が安かったり、サービスが良かったりするキャリアに、簡単に乗り換えられる。こうした効果により、キャリア間の通信料金やサービスの競争が活性化し、料金低下やサービス向上など、利用者のメリットが生まれると予想されている。

また、海外旅行などの際に現地のローミングサービスが使いやすくなる。自分の端末をそのまま持ち歩き、現地のSIMカードを挿して使える場合も増えるだろう。

●一方でデメリットもある
SIMロック解除のメリットがある一方で、デメリットもある。現在、各キャリアはSIMロックにより“2年縛り”などのユーザーの囲い込み(顧客の確保)を行う一方で、本体代金を実質0円にするサービスも提供している。

SIMロックが解除されることで、こうしたサービスが行えなくなれば、スマホ本体を割引なしや定価で一括・文末購入が必要になる可能性もある。最近の最新機種は7〜8万円が多く、そうとうの出費となる。

SIMロック解除は格安スマホやMVNOの飛躍させる?
SIMロック解除では、大手キャリアの対応以上に大きな期待が集まっているのが、今話題となっている格安スマホやMVNO(仮想移動体通信事業者)の存在だ。

実用中心であれば、高スペックが不要なため。1〜2万円台で購入できる格安スマホや中古スマホを利用できるからだ。特に、SIMロックが解除されれば、現在使用しているスマートフォンで通信料金が安いMVNOのサービスに移行できる。

●早くもSIMロック解除の影響がではじめた?
SIMロック解除の義務化は、これまで大手キャリアのサービスを補完してきた格安SIMサービスのMVNOがキャリアのライバルになる可能性が大きくなりそうだ。はやくも、ソフトバンクの孫正義社長は、7GB制限を撤廃するともとれる発言もしているほどだ。

SIMロック解除でユーザーが、これまで以上に流動的になると考えられる。そして
3大キャリアもユーザーを手放さないために、様々な手を打ってくるだろう。それこそが、ユーザーの受けるメリットとなりそうだ。

SIMロック解除後、ユーザーのキャリア変更などの動きが活性化すれば、ユーザーが手にできるメリットは大きくなりそうだ。