4Kテレビ「価格破壊」?ついに49型6万5000円! 「仕掛け人」は中国企業「シャオミ」
ソニーや東芝、パナソニックなどの「日の丸」家電メーカーが現在こぞって注力しているのが、フルハイビジョンの4倍の解像度をもつ「4Kテレビ」。その市場で、ついに「価格破壊」というべき49型6万5000円が登場した。
売り出すのは、中国のfabless(工場をもたない)企業、「Xiaomi(北京小米科技、シャオミ)」。製造は他社に任せて企画・開発を手がけ、販売もインターネットのみという、いまや中国では「アップルを凌ぐ」といわれる人気のスマートフォンメーカーだ。
ソニーの49型、シャオミ「Mi TV2」のなんと5倍!に
中国「シャオミ」の49型・4K解像度対応スマートテレビ「Mi TV2」は、アンドロイドベースの独自OS「MIUI TV」を採用。リモコン操作が可能で、リモコンの置き場所がわからなくなった場合にはテレビ側を操作することでリモコンが発見できる機能を搭載し、かつ8スピーカーのサウンドバーと無線サブウーファーを備えているのが特徴。しかし、とにかく驚くのは、3999元(約6万5000円)という価格だ。
今のところ中国での販売だけだが、2014年5月27日にも予約受付を開始するという。
そうしたなか、ソニーやパナソニックなどの日本勢も4Kテレビに本腰を入れている。6月にブラジルで開催されるサッカー・ワールドカップは4K技術で撮影され、日本国内でも7月からCSで試験放送が始まるなど、ようやく市場拡大が見込めるようになってきたからだ。
しかしメーカーにとって一番の魅力は、既存の薄型テレビが価格下落に苦しむなか、「高品質」の優位性をアピールすることで、販売価格の引き上げが期待できることだ。
ソニーや東芝は4月、相次ぎ4Kテレビのラインアップの充実を発表した。4Kテレビで7割の国内シェアをもつソニーは、新たに49〜85型の「ブラビア」8機種を5月下旬に発売するが、その想定価格は約32万〜200万円。また、東芝は4Kテレビで国内最小となる40型の「レグザ」を7月中旬に発売。こちらの想定価格は約23万円だ。
フルハイビジョンから4Kテレビに移行していく過程で、普及とともに価値が低下することは否めない。家電量販店によると、国内の4Kテレビは13年暮れあたりから値下がり傾向にあるという。売れているのは50インチ前後で、すでに1インチ1万円は切っている。また、調査会社のBCNによると、13年4月に59万5000円だった国内の4Kテレビの平均単価は、14年3月には約40%下落し35万5800円になった。
それでも、価格をみれば一目瞭然。新たに発売されるソニーの49型「ブラビア」は、シャオミの「Mi TV2」のじつに約5倍にもなるのだから、国内メーカーの「思惑」などはどこかに吹き飛んでしまっただろう。
動画サービスの会員になれば、50型・4Kテレビが「5万円」!?
シャオミがこうした「価格破壊」を可能にしたのは、ファブレス企業の強みをいかんなく発揮したからのようだ。
工場をもたずに受託製造会社(EMS)を利用するだけでなく、販売もインターネットだけ。さらには広告費もほとんどかけず、中国版ツイッターと呼ばれる「微博(ウェイボー)」などの口コミを活用するビジネスモデルが低価格を実現したとされる。
シャオミ製のスマートフォンは中国ではアップルのiPhoneを凌ぐ人気で、発売すれば即完売になるほど。洗練されたデザインのうえ、高性能端末。しかもiPhoneの半値で買えるというのが人気の理由だ。つまり、スマホでの成功を4Kテレビでも、ということらしい。
じつは、中国では50型の4K テレビが、なんと「2999元(約5万円)」という事態まで起こっていた。「新中国バイブル」を特集した、週刊ダイヤモンド(2014年5月24日号)によると、インターネットによる動画配信サービス大手の「楽視網信息技術(LeTV)」が、本業の動画配信サービスの有料会員を獲得するために、破格で提供しているというのだ。
日本の通信キャリアがかつて携帯電話をゼロ円にして、通話料とセット販売していたのと同じような売り方だが、とはいえ、それを可能にするのだから、4Kテレビの価格そのものがかなり急速に、大きく落ちていることは想像できる。