PRIDEでは「格闘界の賢者」とも呼ばれた高阪剛氏(写真:livedoor)

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今年6月、東京・秩父宮ラグビー場で行われたテストマッチでウェールズ代表から逆転勝利を収めたラグビー・日本代表。キャップ対象試合でホームユニオン(ウェールズ、イングランド、スコットランド、アイルランド)に勝利するのは史上初となり、まさに“歴史的勝利”と言える。

日本代表は、今週末11月2日に同所で「オールブラックス」ことニュージーランド代表を迎え撃つ。2011年ラグビーW杯優勝国を相手に、どのような戦いを見せるのか。真価の問われる一戦となるだろう。

27日、NHK「サンデースポーツ」では、様々な改革が実を結びつつある日本代表の特集を放送した。前述したウェールズとのテストマッチでは、試合終盤でも日本代表が運動量で圧倒している。番組のカメラにコメントを寄せた主将の廣瀬俊朗は「日本人はコンタクトスポーツには弱いという固定概念がありましたけど、そういうのは剥がれて、対等な立場でラグビーの良さで勝つ」と話す。

そんなアタッキングラグビーを提唱するのは、日本代表に改革をもたらしたエディー・ジョーンズヘッドコーチだ。「日本が勝つためには独自の武器が必要。体格やパワーでは世界一になれないが、世界一、体を鍛え上げたチームにはなれる」と語り、フィジカルの強化はもちろん幾つかの特別な練習を取り入れているという。

データ面であれば選手にGPSを装着させる。これにより走った距離やコース、平均速度、最高速度、選手の衝撃といった様々なデータを把握し、専門のコーチが分析。菊谷崇は「GPSをつけてからの試合でのパフォーマンスっていうところが明確な数字が出てくるので有り難く思っています」と成果を強調した。

また、オールブラックスとの一戦に向け、ジョーンズヘッドコーチはウェールズ戦におけるタックル成功率=89%を、90%以上にすることでチャンスが生まれるとしている。そのための秘策は、“世界のTK”と呼ばれ、世界最大の総合格闘技イベント「UFC」を中心に活躍し、その指導力にも定評がある高阪剛氏をスポットコーチとして招いたことだという。

低く速いタックルにより相手をテイクダウンする――、まさに格闘技流タックルを指導する高阪氏は選手たちに「高いところから急にしゃがむ。要は相手から消える」と説明、低くタックルに入ることで相手選手の視界から突然いなくなる“消えるタックル”を指南している。

データに基づいた戦い方、そして新たな武器を備えた日本代表。軽い脳梗塞により試合当日は治療を余儀なくされチームを指揮することはできないジョーンズヘッドコーチだが、選手たちがその想いを背負い、大勝負に挑む。