雪崩遭遇も“泳いで”難逃れる、約700m押し流されるもほぼ無傷で救助。

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先日、フランスイタリア国境にまたがるモンブラン山群の標高4,000メートル付近で、英国人男性3人が雪崩に巻き込まれる事故が発生した。2人は直撃を免れて無事だったものの、1人は大量の雪に押されて約700メートルも滑落。しかし雪崩が止まった後、男性は何ごともなかったかのように立ち上がり、軽傷を負っただけで済んだそうだ。彼らを救出したイタリアの警察は、巻き込まれた男性の行動に雪崩から助かった要因があったと話している。

英紙イブニング・スタンダードやデイリー・テレグラフなどによると、5月15日、モンブラン山群にある標高4,052メートルのエギュイーユ・ドゥ・ビオナッセイの山頂付近を歩いていた3人は、午後1時頃、山頂からイタリア側のルートを下っていたところで雪崩に巻き込まれた。このうち、33歳と31歳の男性2人は被害を避けられたものの、23歳のアラステア・スウィントンさんは直撃を受け、雪の先頭に押されていくように約700メートル下まで滑り落ちて行ったという。

雪山での雪崩遭遇は、命の危機に直面する大きなアクシデント。ところが今回巻き込まれたスウィントンさんは、幸運にも雪の中に埋まることなく“滑った”おかげもあり、収まった直後には「雪崩から離れるように歩きだす」くらい元気な状態で、難を免れた。その後彼は、現地警察などの救出でイタリアの病院に運ばれたが、多少のあざや切り傷はあったものの、大きなケガはなく「ほぼ無傷」だそうだ。

現地警察のレスキュー隊隊員は、スウィントンさんが助かったのは「雪崩が止まるまで泳いでいたから」と指摘。雪崩の先頭に押し流された彼は、滑落中にずっと泳ぐような動きをし続けていたそうで、これが「雪の表面で留まり続けるのに役立った」と見ている。泳いだおかげで雪の中へ飲み込まれなかった彼は、雪面を滑っていくような状態に陥るだけで済み、ほぼ無傷で助かる結果に繋がったようだ。

最近では登山者の間で、雪崩に巻き込まれても自然と体を浮かせるエアバッグも利用されている中、警察はそうした装備を持っていなかったのに助かった彼は「ラッキー」とも。また一緒に登っていた31歳の男性は、雪崩は「予測するのが難しい」として、不運な事故に巻き込まれたと話しているが、3人とも大きな被害を受けなかったのは「とても幸運だった」と話し、スウィントンさんの無事を喜んでいる。