男を見抜く賢さが、“勝ち美女”に繋がる

　もし自分がオズだったら、セオドラは絶対に面倒臭い。ピュアなんですけど、振り回されそうで、ちょっと大変。男性は、女性に精神的な癒しを求めている所があると思うので、セオドラじゃ癒されません。でも、グリンダはちょっと天然じゃないですか。時に厳しいんですけど、優しい言葉遣いで、しっかりしつつ、ホワッとしてる。猛禽女子ですよね。グリンダの全ては“男子受け”で構成されている。心が綺麗で優しくて、同性・異性みんなから好かれているけど、一番大事なのは、オズのことを信じてくれること。男のことを見抜けずに盲目的に信じられると、オズ自身にも過大評価されている辛さがあると思うんですけど、グリンダはオズを見て「コイツは魔法使いじゃないけど、本当はやる男なんじゃないか？」と、ちゃんと見抜く賢さを持っているので、この辺が“勝ち美女”に繋がるのかなと思いますね。

いい女が使う“魔法”とは、男性に自信をつけてあげること

　いい女が使う“魔法”とは、男性にちゃんと自信をつけてあげることですね。自信をつけるということは彼の良い所を信じてあげること。これは褒めれば良いというものではなく、まずは女性が芯をしっかり持たないと無理なんですよね。自分に芯がないとぶれた時に相手に対しても不安になってしまうので。結局、男性って仕事するにしても何にしても、自信が一番大事じゃないですか。自信が無い人がやることって大体、面白くないので。「あなたは素敵だわ」とか男性に自信をつけてあげたり、魔法を掛けられるのは傍にいる女性だと思いますね。

お姫様気分にしてくれるのは、男の子にしかない魔法

　男って“子供”というイメージがすごく強いけど、男の子にしかない優しさってあると思います。暗い話になるけど、恋愛初期には魔法をいっぱい見せてくれますよね…（笑）。例えば、すごく古典的な話ですけど、女の子の荷物を持ってあげたり、ドアを開けてあげたり、車道側を歩くとか。当たり前のように荷物を持たせる女は嫌かもしれないけど、それに対してブーブー言わないじゃないですか。女だってカバンを持つぐらいの力はあるけど、すごく弱い者として女の子を扱ってくれるから。女の子は普段、自分一人でバリバリ生きてると、「私は何でもできるし、力も強いし」という感じだけど、ふと「私、女の子でいいんだ？」という、ちょっとしたお姫様気分を魔法でかけてくれてる気もしますね。

“勝ち美女”になるためには、自分のことを客観的に見る

　客観的に自分を見る目があるか無いかって大事で、どれだけ素質が良くても、「私なんてブスだ」って思い込んで、すごいメイクをしちゃったり、結構あるんですよ。だから、“勝ち美女”になるためには、自分のことを客観的に見る頭の良さが一番必要かと思いますね。余計なコンプレックスを抱えまくってる女の子って多いんですよ。「ブスなのに放ったらかし過ぎじゃない？」という女の子よりも、「この子は本当にもったいないな」という。素が良いのに全然分かってなくて、学生時代にヒエラルキーの下の方にいた人や自意識過剰な人は、顔が可愛くても過小評価しちゃって、自分なんかダメだってところから長年抜け出せてない子たちが結構多いんですよね。しかも、女って頑なに10年、20年って思っちゃうから、そういう所をしっかり見つめ直せるような客観性って大事ですよね。

　私もずっとコンプレックスが強くて。でも、ここ最近メディアに出ると、否が応でも客観的な目に晒されまくって、やっとコンプレックスが消えて、逆に生まれたりというのもあるんですけど。私、笑うとしゃくれだということに初めて気付いて。動いてる自分を見たことが無くて、鏡に映る時ってキメ顔するから、可愛い顔を見てるんですよね。あと、私は猫背なくせに、姿勢がいいと思い違いしてたんですよ。だから、“美女”になる具体的なオススメとしては、友達と喋ってる所でも、歩いてる所でもいいから撮って、動画で見ると全然違います。客観的に見なかったら、本当に変な方向に行くんですよ。一重、奥二重の人にありがちなので、特に言いたいですね。


　男女の恋愛や結婚観について鋭い分析を次々に披露し、本作について「ダメな恋愛をしている女子や、ちょっとくすぶってる男子にもぜひ観て欲しいですね。女同士で行くと、観終わったあとに女としての共感ポイントとか特に盛り上がると思います。」と語った犬山。取材中は終始「“翼の生えた猿”フィンリーが可愛かった！」と緩んだ笑顔を見せ、ラストシーンに涙したと明かす彼女は、ディズニーの魔法にかけたれた“少女”の一面も覗かせていた。すべての男女を夢と冒険の世界へと誘う映画『オズ はじまりの戦い』は、3月8日（金）3D・2D全世界同時公開。


犬山紙子 プロフィール
　1981年生まれ。エッセイスト。2011年、美人なのになぜか恋愛がうまくいかない女たちの悲惨で笑えるエピソードを描いた イラストエッセイ『負け美女』（マガジンハウス）でデビュー。その後は「負け美女研究家」としてテレビ、雑誌、ラジオなどの各種メディアで活躍。現在『週間SPA！』『Gina』などでコラムを連載中。
ブログ：犬山紙子のイラストエッセイ 負け美女
ツイッター：@inuningen


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