3月19日付日経MJに子ども写真スタジオの「スタジオアリス」の記事が掲載されていた。タイトルは「子ども撮影拡大 『出産前』に的 店舗で育児セミナー 愛着育み珊瑚利用促す」とある。写真のキャプションには「出産を間近に控えた女性がカラダをリラックスさせるマッサージの講習を受ける」と記されている。さて、その狙いはなんだろう。

 記事内容は概ねタイトルに表されているが、イベントに参加できるだけではない。「セミナーで撮影した妊婦姿の写真は台紙に入れて配るが、出産後のお宮参りとお食い初めの写真を入れられるように2枚分のスペースを空けてある。再来店したくなる仕掛けだ」という施策が出色である。自分の写真だけ撮って、あとは空きのままにしておく人はそんなに多くないだろう。数字が記載されていないが、半数以上は取り込めているだろうと思う。

 ただ、この施策の難しい所は「無料」とはいっても、来所の来店のハードルがそれなりに高いことだろう。写真スタジオでマッサージの講習を受けるとはいっても、出産後の子どもとの撮影を狙っているのは見え見え。それを覚悟で参加するのだから。
 そこで重要なのは、「紹介」だ。記事にはないが、恐らくこの施策は広告などで大々的に告知をする必要はないはずだ。ナゼなら、妊婦仲間が連れ立ってスタジオに来るからだ。既に一度参加した妊婦が友人に紹介をする。それであれば、一気にハードルは下がる。

 顧客紹介は優良顧客からが最も多いと思われがちだが、「鉄は熱いうちに打て」の場合もある。セミナーに参加して、撮影もしてもらって全て無料という至れり尽くせりに感動した見込み客は、妊婦仲間にセミナーの様子を伝え、2カット分空いた撮影したアルバムを見せる。青田買いの拡大再生産である。

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