3日、平沼赳夫衆議院議員が代表を務める「たちあがれ日本」の会議で、新党結成への意欲を見せた石原慎太郎東京都知事。平沼氏、そして「国民新党」代表の亀井静香衆議院議員とともに、1995年以来の国政進出が見えてきた。

 昨年の都知事選で300万票を得て当選している石原氏だけに、永田町周辺では「石原人気を追い風に、関東圏を中心に20〜30議席は取れる」(全国紙政治部記者)という声もある。一方で、息子であり自民党幹事長の石原伸晃衆議院議員は、議員引き抜きを懸念するコメントを即座に発表して牽制するなど、けっして見通しが明るいとはいえない。

 はたして、“石原新党”は実現するのか。政治評論家の浅川博忠氏はこう予測する。

「新党結成は簡単ではないと思います。春過ぎまで橋下・維新人気は続くのか、新党結成に必要な軍資金20億から30億円の手当てができるのか、新党が長男・伸晃氏の自民党総裁就任の妨げにならないのかなどのハードルがある。また、石原人気を利用して国民新党の生き残りを図ろうという魂胆が見え見えの亀井氏に対して石原知事は警戒心を持っています。でも、これらの問題をクリアできれば新党が作られるでしょう」

 すでに“西”では、橋下徹大阪市長を中心に「大阪維新の会」が国政進出を目論んでいる。“東”の石原、“西”の橋下が手を組めば、民主・自民に対抗する「第3極」が一大勢力となる可能性もある。ジャーナリストの田原総一朗氏は、その影響力をこう話す。

「2月中にも橋下さん、石原さん、それに大村秀章愛知県知事の3人が地方から国の形を変えていこうと、会合をもつらしい。橋下さんは石原さんらと手を組むことで自民をも取り込もうと狙っている。そうなれば、衆院だけではなく、参院の過半数も牛耳る勢力になる可能性が生まれるでしょう」

「第3極」に対する国民の期待について、大阪府市統合本部の特別顧問に就任した元経産官僚の古賀茂明氏がこう分析する。

「自民党は農協、医師会、電力会社といった既得権益層とくっつき、なんの改革もしないまま、日本をダメにしてしまった。そのため、国民は民主に期待して政権交代をさせたわけです。ところが、その民主が自民よりもダメな党であることがバレてしまった。もう既存政党には期待できない。日本の政治にウンザリというのが、国民の正直な気持ち。そんなところに、橋下さんという強烈な個性のリーダーが現れた。これだけ政治が機能しないと、第3極が登場しても『1極も2極もダメだった。まして3極なんてもっとダメ』とソッポを向くものですが、橋下さんだけは別。この人なら変えてくれる、決定してくれるという期待が日々高まっているのでしょう」

 今国会で衆議院の解散総選挙を迫る自民党。そして来年には参議院選挙も控えている。「第3極」による日本の“維新”は、遠からずやってくるかもしれない。

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