何年か続いたイングランド4強+バルサの時代も、途中から飽きが来たくらいだ。バルサ1本被りのこの世の中は、サッカーにとって、けっしてハッピーな時代とは言えないのだ。

とはいえ、日本人選手は現在、歴史を動かしそうな場所で誰1人としてプレイしていない。より良いクラブへ移籍を決めることができた選手もいない。それどころか、あえなく帰国する選手が目立つ。

これまで昇りの階段を順調にステップアップした選手はどれほどいるだろうか。中田英、小野、中村俊、稲本……。振り返ってみると、その数はごく僅かだ。現在も長友と本田の2人だけ。活躍中の香川も、勝負はこれからだ。長谷部、内田には、残念ながら、次のクラブへ移行する力、昇りの階段が用意されているようには見えない。

W杯本大会で、前回以上の成績を収めようと思えば、欧州のトップ16のクラブで最低でも5人はプレイしている必要がある。イングランド、スペイン両リーグで10人ぐらいはプレイしている必要がある。

現在は、どう考えても停滞気味。だが、その点を指摘する人は少ない。楽観的にも「個の力はアップした」と、相変わらず多くの人がお題目のように唱えている。

すなわち、欧州のサッカー界の全体図を、広い視野で捉えることができずにいる。アップしたことは間違いないが、あくまでも少々。欧州内で日本人パワーが炸裂しているわけでは全くない。

逆に、都落ちするように、欧州から日本に帰ってくる選手が多いことを、もっと嘆くべきだと思う。

一度行ったら帰ってくるな。欧州戦線の中に骨を埋めろ。落ち武者になって帰ってくるな。いまこそ叱咤激励が必要な時期だと僕は思う。